視程計

視程計（Transmissometer）とは

視程計は、大気の消光率や光透過率を測定し、視程を把握するために使われる装置です。視程の測定に特化した機器を視程計と呼び、その他の用途には透過率計と区別されますが、両者の測定原理はほぼ同じです。

概要と原理

視程計の仕組みは、投光器から発射された狭いビームが大気中を通過し、減衰した状態で受光器に届く光を測定するというものです。この測定方法により、視程の種類に応じて「直達式」と「散乱式」の2つの方式に分類されます。一般的には、視程計は波長550nmの可視光線を使用します。これは人間の目で認識しやすい範囲の光であるため、計測結果が目視観察に近くなるのです。

直達式視程計

直達式視程計では、投光器と受光器を直線上に配置し、直進する光のみを測定します。これにより、ほぼ目視に近い正確な結果が得られますが、投受光器の間隔が数百メートル必要となるため、設置場所に制約が生じることがあります。そのため、大規模な空間や特殊な環境での使用が求められる場合に適しています。

散乱式視程計

一方、散乱式視程計では、投光器から発射された光の斜め前方や斜め後方に受光器を設置します。これにより、大気中の散乱光や反射光を測定することが可能となります。散乱式は、投受光器の距離が短くても計測ができるため、設置場所の選択肢が広がるという利点があります。さらに、装置によっては、雨粒やエアロゾル粒子の大きさを測定し、視程障害の原因を分析する機能を持っています。

視程の測定結果

測定結果として得られる視程は「気象光学距離」（MOR）と呼ばれ、国際的な気象機関（WMO）によって、2700Kの白熱灯相当の光が5%に減少する距離として定義されています。この指標は、主に気象観測や航空運行において、その重要性が増しています。

航空業界での重要性

視程計は、特に空港において飛行機の離着陸判断に不可欠な情報を提供します。この情報は、計器進入時に必要なもので、滑走路視距離（RVR）として知られています。RVRの計測を行うための視程計は「滑走路視距離計」という特別な装置で、滑走路の片側に1から3セットが設置されることが一般的です。

関連技術

視程計に関連する技術には、雲高計（シーロメータ）が存在します。これは、雲の高さを測定するための装置で、航空業界をはじめ、天候の把握に役立っています。視程計と同様に、航空運行や気象観測における重要な役割を担っています。

以上のように、視程計は気象観測や航空運行において極めて重要な役割を果たしている装置であり、様々な方法と技術によってその計測精度が向上しています。

もう一度検索