覚王寺

覚王寺

覚王寺は、愛知県丹羽郡扶桑町にある臨済宗妙心寺派の寺院です。山号を金華山と称し、本尊には十一面観音を祀っています。この寺は、その歴史的背景と文化財としての価値から、多くの人々に関心を寄せられています。

歴史

覚王寺は、1330年（元徳2年）に天台宗の寺院として創建されました。しかし、文明年間に火災に見舞われ、建物は焼失。本尊のみが難を逃れ、寺宝として現在も大切に安置されています。

その後、1510年（永正7年）に十四世住職の友峰宗益によって、村の北端に寺が再建され、その際、臨済宗に改宗しました。この再建時に、寺号を金華山覚王寺と改め、山那の龍泉寺の末寺となりました。1729年（享保14年）には、研宗和尚の時代に現在地に移転されました。

2005年（平成17年）7月12日には、本堂、庫裏、大日堂、鐘楼、山門の5棟が、その文化的価値を認められ、国の登録有形文化財に登録されました。

文化財

覚王寺には、以下の5棟の登録有形文化財があります。これらの建物は、歴史的な建築様式を今に伝える貴重な遺産です。

本堂：文化11年（1814年）に建てられました。
庫裏：天保11年（1840年）に建てられました。
大日堂：寛政6年（1794年）に建てられました。
鐘楼：昭和9年（1934年）に建てられました。
山門：明治35年（1902年）に建てられました。

これらの文化財は、当時の建築技術や文化を今に伝える貴重な存在です。

旧覚王寺跡

現在の覚王寺は、かつて別の場所にありました。旧覚王寺は、現在の扶桑町高雄北海道の南、名鉄線路が敷かれているあたりに位置していました。この地は、織田信長軍が犬山城を攻めた際の進撃路にあたり、犬山方の武士たちがこの寺を拠点として戦ったとされています。

旧覚王寺は、戦火により焼失しましたが、大三世の友峰宗益によって再興され、現在の場所に移転しました。覚王寺にある鐘の銘文には「天文永禄之蜂起」の文字があり、この蜂起によって鐘が失われたため、新たに鋳造されたことが記されています。

当時のこの地域の主要道路としては、織田街道や柳街道がありましたが、記録によると、道幅は狭く、大軍の移動には不便だったと考えられています。このことは、当時の戦の様子を物語る重要な手がかりとなっています。

所在地

〒480-0102
愛知県丹羽郡扶桑町高雄南屋敷135

まとめ

覚王寺は、創建から数々の変遷を経て、現在の姿に至っています。その歴史の中で、多くの困難を乗り越え、文化財としての価値も高く評価されています。訪れる人々は、その静寂な空間の中で、歴史の重みを感じることができるでしょう。

参考文献

扶桑町教育委員会、扶桑町史編集委員会『扶桑町史 上』扶桑町、1998年。

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