親衛隊人種及び移住本部

親衛隊人種及び移住本部（RuSHA）

親衛隊人種及び移住本部（Rasse- und Siedlungshauptamt-SS、略称RuSHA）は、ナチス・ドイツの親衛隊（SS）の12の本部の中の一つで、主に人種に基づく選抜と移住政策を担当していました。この機関は、親衛隊員の人種的要件を厳格に定め、エリート的な北方人種の育成を目指していました。

背景と目的

1930年代初頭、親衛隊員の増加に伴って、ハインリヒ・ヒムラーは、身長、髪色、眼色の基準を設け、戦略的に北方の「純粋な」人種で構成されるエリート集団の形成に取り組みました。この動きは、SSの理念に深く根付いた人種思想を基礎としており、ヒムラーは1931年に親衛隊員の婚姻に関する命令を発出しました。この命令では、親衛隊は特別に選抜された北方人種の団体であり、婚姻は許可制であると規定されました。

この政策は、次第に形式的になり、実際には多くの婚姻が許可されることとなり、実効性を欠く結果となりました。さらに、RuSHAは、親衛隊員の人種を5つのカテゴリーに分類し、特に北方人種に該当する者だけがSSへの入隊が許可されるという厳しい基準を設定しました。

教育と組織の変化

初期には、親衛隊員の教育はRuSHAが担い、ヒムラーとダレの思想に基づく人種教育が行われていました。しかし、アーリア人の歴史を題材にした講義は隊員にとって退屈であったため、人気を得ることができず、徐々に親衛隊本部に教育権が移譲されました。

1935年には親衛隊本部とともに、RuSHAも本部制に昇格し、組織の権限が強化されました。その後もダレは、ニュルンベルク法に基づく人種・遺伝的犯罪の逮捕権限を求めましたが、この権限は保安警察本部に譲渡され、更なる権力争いが生じることとなります。1938年にはヒムラーとの関係が悪化し、ダレは本部長を解任されました。

戦時中の役割と影響

第二次世界大戦中、RuSHAはその影響力を低下させながらも、ドイツ人の占領地域への移住計画に関わりました。彼らは84万人の純血ドイツ人の移住を初めとする多様な計画を立案しました。このような人種主義の考えに基づく任務は、同時に「レーベンスボルン」や「アーネンエルベ」といったプログラムの実施にも関連していました。

戦後の影響

1945年以降、RuSHAに関連した者たちはニュルンベルクで裁判にかけられ、この機関の役割と責任が厳しく問われることになりました。RuSHA裁判は、ナチスの人種政策の中心的な役割を果たしていたこの機関の行為を追及する一環として行われ、多くの証言が求められました。

長官の履歴

親衛隊人種及び移住本部の長官は以下の通りです。

• - 1932年1月1日 - 1938年9月11日: リヒャルト・ヴァルター・ダレ（後の大将）
• - 1938年9月11日 - 1940年7月9日: ギュンター・パンケ（後の大将）
• - 1940年7月9日 - 1943年4月20日: オットー・ホフマン（後の大将）
• - 1943年4月20日 - 1945年5月8日: リヒャルト・ヒルデブラント（大将）

このように、親衛隊人種及び移住本部はナチス政権下において重要な役割を果たし、後の歴史においても影響を与える存在として認識されています。

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