親鼻橋

親鼻橋（おやはなばし）

親鼻橋は、埼玉県秩父郡皆野町の皆野と金崎の間に位置しており、国道140号が架ける重要な道路橋です。この橋は、荒川を渡るもので、1957年に完成しました。橋の長さは約110.8メートルで、幅は7.0メートルあります。最大支間長は44.0メートルで構成されており、プレートガーダー橋という形式です。歩道は上流側にだけ設置されているのが特徴です。

親鼻橋は、長い歴史を持つ交通の要所であり、古くから皆野町と長瀞を繋ぐ役割を果たしてきました。その数十年にわたる運用の中で、地域の発展に寄与してきたとともに、周辺の美しい自然環境も観光資源として魅力があります。

橋は右岸と左岸の段丘面を直接結んでおり、周囲に堤防などの河川設備はなく、自然の地形が際立っています。この国道140号は、国道としての指定こそされていますが、実際には自治体である埼玉県が管理を行っています。なお、国道140号は県管理の補助国道であり、第一次緊急輸送道路にも指定されています。

歴史

親鼻橋の前身とも言えるのが、かつて存在した「親鼻の渡し」と呼ばれる渡船場です。この渡船場は秩父往還道の一部として、二隻の船を用いて対岸と結ばれていました。渡船場は橋の上流側に位置し、毎年11月から4月にかけて水量が減少する時期に、長さ19間3尺（約35.45メートル）の仮橋が架けられていました。

親鼻告知の名称は、金崎村の小字に由来しています。皆野村ではこの渡しを「塩貝戸の渡し」とも呼んでいましたが、1902年の橋の開通に伴い、渡船場は役割を終えました。現在では渡船場跡が観光用の簗場として利用されています。

1886年に開通した秩父新道の設立により、交通の流れが大きく変わり、皆野村の旧来の街道に依存していた地域は次第に衰退しました。これを危惧した村長や住民たちは、本格的な橋の建設を目指す活動を始めました。1898年には埼玉県に対し、橋の架設を陳情する動きがありました。県は渡船の必要性を認め、親鼻橋の建設が決定されました。

1902年の橋

初めて架設された親鼻橋は1902年に完成し、木造のプラットトラス橋でした。しかし、老朽化や道路整備の必要から、後に現在の鋼製の橋に架け替えられました。1957年、親鼻橋は約50メートル下流に新たに架け替えられ、現存の橋が完成しました。この新しい橋は連続鋼鈑桁橋で、当時135トン以上の荷重に耐える能力がありました。

周辺状況

橋の近くには、ウグイやオイカワなどの魚たちが生息する荒川が流れており、埼玉県が水質測定を行う重要な地点になっています。また、親鼻橋は「県立長瀞玉淀自然公園」のエリア内に位置しており、長瀞渓谷を形成していることから、観光やレジャーの拠点としても多くの人々に利用されています。

セーニャアクティブなアウトドアスポーツの場ともなっており、ラフティングやライン下りなどが盛況です。観光資源としてさらに知られているのが、紅簾片岩という大露頭で、美しい風景が広がります。

親鼻橋周辺には、親鼻駅や金崎古墳群、皆野スポーツ公園などもあり、訪れる人々にとって様々なアクティビティを楽しむことができる環境が整っています。このように親鼻橋は、地域の交通の要としてだけでなく、自然の美しさと人々が寄り添う文化の交差点として、今もなお重要な役割を果たしています。

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