観光橋

観光橋：歴史と平和のシンボル

広島県広島市八幡川に架かる観光橋は、昭和12年（1937年）11月に竣工した道路橋です。宮島への観光ルートである宮島街道上に位置し、西広島駅周辺と繋がる重要な交通インフラとして機能しています。

歴史的背景

観光橋の建設は、昭和恐慌後の失業対策として進められた道路整備計画の一環でした。広島市内から観光地である宮島を結ぶ道路網の構築を目的とし、「宮島沿線観光道路」などと呼ばれたこの計画は、複数段階にわたって実施されました。観光橋は、その計画における重要な区間の整備として架けられました。当初は鉄筋コンクリート構造でしたが、現在ではプレキャストコンクリート（PC）桁橋となっています。なお、日本の最初のプレストレスト・コンクリート橋（PC橋）の架橋は1951年であるため、観光橋におけるPCはプレキャストコンクリートを指します。

原爆と観光橋

昭和20年（1945年）8月6日、広島市への原子爆弾投下。観光橋は爆心地から約2.56kmと比較的距離があったため、落橋を免れ、目立った損傷も受けませんでした。しかし、この橋は、被爆直後、多くの被爆者が西へと逃れるための避難路として利用されました。また、爆撃後1時間近く降り続いた黒い雨の降雨区域に位置し、橋の下で雨宿りをした人々もいたと伝えられています。戦後すぐには、橋周辺に公設市場が開設され、多くの人で賑わいました。

戦後と現在

戦前・戦中は国道2号の一部でしたが、戦後の道路整備に伴い市道となりました。それでも、現在も交通量は多く、天皇盃全国都道府県対抗男子駅伝競走大会の1区コースにもなっています。全長9.8m、幅員22m（20.4m）の観光橋は、広島の歴史と平和を象徴する存在であり、地域住民の生活に深く関わっています。橋の名前の由来となった「観光道路」は、現在も観光客や地元の人々によって頻繁に利用されており、広島の重要な観光ルートとして機能し続けています。その歴史と役割は、この街の記憶と未来を繋ぐ重要な要素となっています。

構造

観光橋はプレキャストコンクリート（PC）桁橋で、橋長9.8m、幅員22m（車道20.4m）の比較的コンパクトな橋梁です。PC橋の普及より前の建設であるため、プレストレストコンクリートではなく、プレキャストコンクリートの部材を用いた構造となっています。

まとめ

観光橋は、単なる橋梁としてだけでなく、広島の歴史、特に原爆投下という悲劇と復興、そして現在に至るまでの道のりを象徴する存在と言えます。その存在は、過去を学び、未来へ繋ぐための重要な教訓を私たちに与えてくれます。

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