観測強化地域と特定観測地域

観測強化地域と特定観測地域の概要

観測強化地域（かんそくきょうかちいき）と特定観測地域（とくていかんそくちいき）は、地震予知に関連する観測を重点的に行うために設けられた地域です。1970年に地震予知連絡会の指導の下で指定され、その後一部の見直しを経て、2008年に解消されるまで存続しました。
観測地域の選定は、過去に発生した大地震や活断層、地殻変動の状況、さらにはその地域の社会的重要性が考慮されました。

歴史的背景

この計画は、1968年に測地学審議会の提案によって始まりました。具体的には、「第2次地震予知計画」内でその構想が示され、1969年から対象地域の選定作業が開始されました。1970年2月20日には、初めての地域指定が行われました。その際、関東南部が観測強化地域として指定され、北海道東部や秋田・山形西部、さらには新潟県南西部や長野県北部などの8地域が特定観測地域に選定されたのです。

1974年には、駿河湾で得られたデータに基づき、東海地域が観測強化地域に追加されました。このように、地域の指定が行われるたびに、当時の地震活動や地質状況が重要な判断材料とされました。

1978年の再評価

1978年8月21日、指定地域の過去の観測結果を受けて全面的に見直しが実施されました。その結果、南関東や東海の2地域が観測強化地域に指定され、新たに北部の地域や名古屋・京都・大阪・神戸地区などが特定観測地域として選ばれました。この際の選定基準には、過去に大地震が発生したが最近は起きていない地域や活断層が存在する地域、さらには地殻活動が活発な地域、社会的重要性が高い地域が含まれていました。

その後も1983年や1992年から1994年には地域の見直しが検討されましたが、実際の変更には至らず、結局1978年に指定された地域が2008年まで維持されることになりました。

具体的な観測内容

観測強化地域や特定観測地域では、地域ごとに特徴的な観測活動が行われました。具体的には、辺長測量や水準測量、体積歪計、微小地震観測、海底地震観測、GPS観測、地殻変動観測、地下水観測、地球電磁気観測、重力観測、潮位観測、津波計など多様な観測手法が用いられました。

これらの観測は、「限られた観測・研究資源」を効率的に利用するために設けられたものであり、時間と共に発展していく地震観測技術への対応も含まれていました。

解消の背景

2008年には地震予知技術や制度面の整備が進んだことから、全国的に地震観測網が普及しました。そのため観測強化地域と特定観測地域の必要性は薄れ、2008年2月18日にその指定が解消される運びとなりました。この解消は、地震観測がより効率的に行われる新たな時代の到来を告げるものでもありました。

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