観点別学習状況

観点別学習状況について

観点別学習状況（かんてんべつがくしゅうじょうきょう）は、学校教育において児童や生徒が各教科でどのように学んでいるかを分析する手法です。この分析では、学習指導要領の目標に沿って、学習内容を複数の観点に分け、それぞれの観点ごとに学習の進捗や成果が評価されます。

概要

かつては、学習内容は「関心・意欲・態度」「思考・判断・表現」「技能」「知識・理解」などの4〜5つの観点に分類されていましたが、令和3年度からは各教科で「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」という3つの観点に絞られています。教師はそれぞれの観点に基づいて目標を設定し、学習者の達成度を分析し、一般的には以下の3段階で評価を行います。

• - A（十分満足と判断されるもの）
• - B（おおむね満足であると判断されるもの）
• - C（努力を要すると判断されるもの）

このプロセスは観点別評価（かんてんべつひょうか）とも呼ばれ、学年末には必修科目と選択科目についての評価が記録されます。教育課程は学習指導要領、教科書検定、指導要録という形で国家によって統制されているため、これらの評価も国家レベルでの基準に従っています。

評価導入の背景

1987年の教育課程審議会においては、知識や理解だけでなく、児童や生徒の興味や関心を重視すべきとの提言がありました。これに基づいて、指導要録の様式が改訂され、各教科での観点別評価が導入されることとなりました。特に、評価方法としての絶対評価と3段階評価の実施は、指導要録における評価記載にも変化をもたらしました。

評価の方法

観点別学習状況を評価するために、教師は評価基準を定め、評価項目を明確にします。これには、授業中の発言や行動、ノートやワークシート、宿題、そして定期テストなどの資料が用いられます。評価は資料に基づき、それぞれの観点ごとに結果をまとめ、最終評価を行います。

このプロセスは、教師が児童生徒の学習を支援するための重要な情報を提供し、授業の改善に役立ちます。児童生徒やその保護者にとっても、自らの学習の進捗を確認し、改善点を見つける手助けとなります。

評価の問題点

評価の期間が長いと、不十分な学習段階を放置してしまい、どの部分が達成できていないのかがわかりにくくなるため、評価の有効性が低下することがあります。このため、学習単元ごとに短期間での評価を行う研究が進められています。短期間の評価を繰り返すことで、生徒たちは自己の学習の不足を早期に発見でき、教師も学習状況の変化を把握しやすくなります。

しかし、評価スパンを短くすることで、教師には大量の評価資料を収集しなければならず、教材研究や授業準備が疎かになってしまうリスクもあります。このため、現実的な評価方法の見直しが求められています。

評告の通知とその問題点

観点別評価は通常、学期末や学年末に評価表として児童生徒や保護者に通知されますが、一度に多くの項目が記載されるため、情報が分かりづらくなる場合もあります。多くのA,B,Cの記号が並ぶことで評価を理解することが困難になることもがあります。

このため、別表に評価をまとめて配布する学校も見られますが、意図した形で評価を伝えるための方法はまだ模索されており、教師の立場としては観点別評価が教育の質を高めるための参考資料となる一方で、同時にその実施に疲弊する現状もあります。

結論

観点別学習状況は、児童生徒の学びを多角的に捉える重要な手法です。しかし、実施には多くの課題が伴うため、今後はより効果的な評価方法の研究と実践が求められます。教育の改善は教育現場の努力によって実現されるものであり、児童たちがより良い学習体験を得るための基盤を整えることが大切です。

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