観音塚古墳 (羽曳野市)

観音塚古墳の概要

観音塚古墳（かんのんづかこふん）は、大阪府羽曳野市飛鳥に存在する歴史的な古墳です。この古墳は円形の形状を持ち、国の史跡にも指定されています。観音塚古墳は、飛鳥時代の終末期に築かれたもので、内部には特に注目される横口式石槨という石室構造を持っています。

立地と周辺環境

古墳は鉢伏山から伸びる尾根の上に位置し、最寄りの近鉄南大阪線上ノ太子駅から北へ約600メートルの距離にあります。この地域には飛鳥千塚古墳群が広がっており、観音塚古墳もその一部として、他の終末期古墳とともに点在しています。当古墳の墳丘は、ぶどう園として利用されているために一部が盛り土されておらず、正確な大きさは不明ですが、約13メートルの直径を持つ円墳であると考えられています。

埋葬施設の構造

この古墳の埋葬施設は、周辺で採掘される石英安山岩を用いて巧妙に組み立てられた横口式石槨で構成されており、石槨部、前室、羨道から成り立っています。具体的には、石槨部は中に身と蓋の2石があり、天井は屋根型に整形されています。この構造は、家形石棺の内装と共通点があります。

石槨部の大きさは長さ1.93メートル、幅0.92メートル、高さ0.78メートルとされ、南側の小口には横口部があり、そこから石の扉を取り付けるための段が設けられています（ただし、扉石自体は見つかっていません）。前室には石槨部の床面と同じ高さに配置された切石が使われており、アクセスは階段状の敷居石で行われていました。柱状の石材が両側に立てられ、その上に梁石が架けられた作りで、前室にも扉があったと考えられています。また、前室の壁は、東面に7石、西面に8石の切石が密に組み合わせられています。

手法と技術

このような高度な石積みの技術は、観音塚古墳だけでなく、周囲のオーコ8号墳や鉢伏山西峰古墳でも見ることができる特徴です。この技術の系譜は朝鮮半島にまで遡ると考えられており、特に石槨部の建設には高麗尺が用いられたとも言われています。

文化財としての重要性

観音塚古墳は、1981年4月22日に国の史跡に指定されました。明治時代以前から開口しているため、副葬品の具体的な情報は確認されていませんが、その存在は歴史的な価値を持ち、訪れる人々に深い印象を与えています。この古墳は、地域の歴史や文化を理解するための重要な手がかりとなっています。

参考文献

• - 中之島文化財団編『ふたつの飛鳥の終末期古墳 大阪府立近つ飛鳥博物館平成21年度特別展図録』
• - 『図説 日本の史跡 第2巻 原始II』同朋舎、1991年

逆にこの古墳を訪れることで、大坂の古代の歴史を感じることができるでしょう。

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