観音院 (瑞穂市)

観音院は、岐阜県瑞穂市穂積に所在する浄土宗西山派の寺院で、弘応山と号します。本尊には阿弥陀如来を安置しており、美濃三十三観音霊場の第三十番札所として知られています。

観音院の創建については、度重なる水害によって関連資料が失われたため、詳しいことは分かっていません。もともとは天台宗の寺院でしたが、織田信長が足利義昭を立政寺に招いた際、その末寺となり浄土宗に改宗したと伝えられています。その後、寺運は一時衰退し、観音菩薩を祀る一宇を残すのみとなりました。

しかし、江戸時代の延宝4年（1676年）に、村内の井上定次が寺の再興を志し、名古屋の極楽寺から空室を招きました。そして、貞享3年（1686年）10月に再興がなり、落慶を迎えました。この再興によって、観音院は再び活気を取り戻しました。

その後、明治時代に濃尾地震が発生し、観音院は大きな被害を受けましたが、地域の人々の尽力によって再建を果たし、現在に至っています。令和2年（2020年）には、十一面観世音菩薩が札所本尊として定められ、美濃三十三観音霊場の第三十番札所として、新たな歴史を刻み始めました。

観音院では、毎年8月10日に、十一面観世音菩薩を祀る千日参りが催されます。この行事では、高さ8.7メートルにも及ぶ巨大な提灯が使用され、その荘厳な光景は多くの参拝者を魅了します。

観音院は、創建以来、幾多の困難を乗り越え、地域の人々の信仰を集めてきた寺院です。その歴史と伝統は、今日まで大切に受け継がれています。

参考文献：
本巣郡教育会　『本巣郡志』 p630,631　1937年

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