角倉素庵

角倉素庵：多才な才能で時代を駆け抜けた人物

角倉素庵（すみのくら そあん）は、元亀2年（1571年）に京都の豪商、角倉了以の長男として生まれました。本姓は吉田氏、名は与一、諱は玄之（のちに貞順と改名）、字は子元、素庵と号し、期遠や西山といった別号も持っていました。彼は、江戸時代初期において、土木事業家、儒学者、書家、貿易商として多岐にわたる才能を発揮し、その名を歴史に刻んでいます。

多様な分野における活躍

素庵は、学問においては藤原惺窩に儒学を、書道においては本阿弥光悦に師事しました。その結果、独自の書風である角倉流を創始し、近世の能書家五人の一人に数えられるほどの腕前となりました。また、父・了以の跡を継ぎ、貿易業や土木事業にも積極的に関わりました。

晩年には活版業を志し、光悦門下の俵屋宗達の協力を得て、古活字版である嵯峨本（角倉本）を刊行しました。これは、当時の文化水準の向上に大きく貢献するものでした。さらに、茶の湯を古田織部に学ぶなど、文化的な造詣も深く、その活動は多岐にわたっています。

生涯と死

素庵は寛永4年（1627年）に病に倒れ、家業を子に譲って嵯峨野に隠居しました。その後、寛永9年（1632年）に62歳で亡くなりました。遺言により、墓は一族の墓所である二尊院ではなく、化野念仏寺に置かれました（ただし、二尊院にも墓所があります）。その功績を称えられ、昭和6年（1931年）には正五位が追贈されています。

角倉素庵の足跡

角倉素庵は、土木事業、貿易、出版、書道など、様々な分野で才能を発揮しました。彼の業績は、江戸時代初期の社会や文化に大きな影響を与え、今もなお高く評価されています。特に、嵯峨本の刊行は、日本の出版文化における重要な出来事として知られています。

関連事項

* 嵯峨本

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