角川春樹

角川春樹の生涯と業績

角川春樹（かどかわ はるき）は1942年1月8日に、富山県中新川郡水橋町で生まれました。彼の父は角川書店の創設者、角川源義であり、その影響を受けながら育ちました。春樹は東京の杉並区で育ち、名門國學院大學に進学しましたが、父親の影響から、大学の道を選ぶことになりました。在学中はボクシングに熱中し、独自の個性を磨きました。

大学卒業後、彼は父の会社、角川書店に1956年から入りました。初めの数年間では出版社での実務を経験し、独自の商才を発揮していくことになります。1975年には父親の死去を受け、社長に就任しました。その後、春樹は映画製作への進出を発表し、映画『犬神家の一族』の登場により一躍有名になります。この成功により、角川商法と呼ばれるメディアミックス戦略が確立され、映画と出版の垣根を超えて多くのヒット作品を生み出しました。

角川書店での革新

春樹の角川書店社長としての時代は、いままでの出版業界にない新しいビジネスモデルを導入しました。映画と本をセットで販売する手法は、当時の常識を覆したものであり、多くのファンを巻き込むことに成功しました。彼の手がけた作品には『人間の証明』『野性の証明』などがあり、これらの影響で日本の映画界にも強い印象を残しました。

しかし、1980年代後半から角川映画は1960年代、1970年代の勢いを失い始めます。この背景にはフジテレビの映画事業参入や、春樹自身の監督としての仕事へのシフトがあったと推測されます。

事件と逮捕

1993年、春樹は麻薬取締法違反で逮捕され、社会的信用を失いました。これにより、角川書店の社長を辞任し、特に弟の角川歴彦との内紛が大きな問題として浮上しました。この時期、多くの社員が彼から離れ、新しい企業を設立するなどの流れがありました。

春樹はその後、特別顧問という立場に留まりつつ、自らの事務所を設立、ゲームや出版、映画への新たな挑戦を続けました。彼は再び映画製作に復帰し、『男たちの大和』を皮切りにいくつかの作品を手がけました。これまでも多くのヒット作を生み出し続けたものの、残念ながらその後の作品は興行的にはあまり成功を収めませんでした。

俳人としての活動

春樹は俳句への関心も強く、1979年からは俳誌「河」の副主宰を担当し、数々の句集を発表しています。特に彼の第一句集『カエサルの地』と第二句集『信長の首』は大きな評価を受け、俳壇に新しい風を吹かせました。以降も彼は俳句において高い評価を受け、多くの賞を獲得しました。

最後に

角川春樹はその波乱に満ちた人生を通じて、日本の出版業界と映画界に多大な影響を及ぼしました。独自のビジョンと商才、そして芸術への情熱は、彼を日本の文化の一翼を担う存在として記憶させることでしょう。今後も彼の作品や活動は、多くの人々に影響を与え続けるに違いありません。

もう一度検索