角田史雄

角田史雄（つのだ ふみお）氏は、1942年生まれの日本の工学者です。埼玉大学工学部教授を経て、現在は同大学の名誉教授を務めています。理学博士の学位を持ち、地質学と地震工学を専門としています。

研究分野

角田氏の研究は、主に浅層地殻における断層の深部形態、断層帯の構造と形成過程、そして断層近傍での強震動発生メカニズムの解明に焦点を当てています。これらの研究を通じて、地震発生のメカニズムを深く理解しようとしています。

経歴

1961年、群馬県立渋川高等学校を卒業後、1967年に埼玉大学文理学部理学科を卒業。その後、東京教育大学大学院に進学し、1969年に博士前期課程、1972年には博士後期課程を修了しました。1973年には東京教育大学より理学博士の学位を授与され、文部省学術振興会奨励研究員（1974年まで）を経て、1975年に埼玉大学教養部の専任講師として着任しました。

その後、1976年に助教授、1982年に教授へと昇進。1995年には埼玉大学工学部の教授となり、2006年には埼玉大学大学院理工学研究科教授を務めました。2008年に埼玉大学を退職し、名誉教授となりました。

熱移送説

角田氏は、地震発生の原因を説明するにあたり、従来のプレートテクトニクス理論だけでは説明しきれない部分に着目しました。プレートの移動だけでは説明できない地震のメカニズムを、地球内部の高熱の移動、特にマントルプルームによる「熱移送説」で説明することを試みています。この説は、地震発生メカニズムに関する新たな視点を提供しています。

受賞歴

角田氏は、その研究業績により、1971年に日本地質学会研究奨励賞、1987年には地学団体研究会・地球科学賞を受賞しています。

主要著書

• - 『新しい地球観を探る』（共著：藤田至則、角田史雄、西村敬一、愛智出版、1993年）
• - 『地震の癖 －いつ、どこで起こって、どこを通るのか?』（講談社+α新書、2009年）
• - 『首都圏大震災 その予測と減災』（講談社+α新書、2011年）
• - 『次の「震度7」はどこか！』（共著：角田史雄、藤和彦、PHP研究所、2016年）
• - 『徹底図解 メガ地震がやってくる！』（共著：角田史雄、藤和彦、ビジネス社、2021年）

これらの著書を通じて、地震のメカニズムや災害対策について、一般読者にも分かりやすく解説しています。

主要論文

角田氏は、多数の論文を発表しており、その一部を以下に示します。

• - 褶曲形態を決める要因についての考察:富士川上流域に発達する褶曲を例にして (1971)
• - 富士川流域における断層系の解析 (1976)
• - 南部フォッサ・マグナの"褶曲"の成因 (1987)
• - 予知されていたサンフランシスコ,ロマ・プリータ地震 (1991)
• - サンアンドレアス断層の撓みをもたらした水平ずり運動による,北サンタクルーズ山地の隆起 (1991)
• - 大西洋中央海嶺にそってマグマの付加作用がおこっていることを示す重力データ (1991)
• - 埼玉平野南西縁部における関東地震の強震動 (1993)
• - 足柄層群の変形過程 (1993)
• - 足柄山地東部の松田山累層と神縄断層について (1997)
• - 南部フォッサマグナ地域の足柄堆積盆地における前期更新世の撓曲とその形成過程 (2002)
• - 地震の癖を探る : 東京・埼玉地域の被害地震集中帯 (2009)
• - 首都圏南部の被害地震予測(その2) : 地震の揺れと被害 (2011)
• - 熱移送説に基づく2011年3月の東北太平洋沖地震の解析 (2011)

これらの論文では、地質構造や地震活動に関する詳細な解析が行われており、角田氏の研究成果が示されています。

その他の研究

共同研究として、山梨県西部、巨摩山地第三系の地質に関する研究や、関東地方における大地震と小地震の震度分布の比較研究にも携わっています。

角田史雄氏は、長年にわたり地震学と地質学の分野で重要な研究を行い、その成果は学術界だけでなく、一般社会にも広く影響を与えています。

外部リンク

• - 角田史雄 - KAKEN 科学研究費助成事業データベース

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