触媒ストレート

触媒ストレート（しょくばいストレート）とは

触媒ストレートとは、自動車の排気系から触媒装置を取り外し、直接パイプをマフラーに接続する行為を指します。また、広義ではその状態に特化したパイプ製品を意味することもあります。この行為は日本において公道での使用が違法であり、違反すると検挙される可能性があります。

概要

自動車における初期の触媒の構造は、大量の触媒粒子を充填したケースに排気ガスが通過するものでした。そのため、触媒は高い通気抵抗を持ち、エンジンの出力に悪影響を与えることがありました。このため、触媒を取り外すことで排気効率が向上し、パワーが増す車両が多く存在していました。特に、触媒が導入され始めた時代には、多くの市販車が簡易に改造される手段として用いられていました。

現在では、最新の触媒は内部にハニカム型の構造を持つモノリス型に進化し、通気抵抗は大幅に改善されています。このため、現行の車両において触媒を取り外しても以前のような明確なパフォーマンス向上は得られません。それにもかかわらず、依然としてパワーアップ方法として触媒ストレートが名前を挙げられることがあるものの、現在では多くのレーシングカーも触媒とサイレンサーを装備しています。

アフターパーツメーカーも、排気抵抗を低減しつつ排気ガスの浄化を実現する「スポーツ触媒」の製品を多数取り揃えていますが、中には規制に適合しないものもあり、これらは触媒ストレートと同様に扱われることがあるため、注意が必要です。

使用による問題点

触媒を取り外した場合に生じる主な問題には、以下の2点が挙げられます。

1. 大気汚染の原因: 触媒は排気ガス中の有害物質を水や二酸化炭素、窒素に変換する役割を果たしています。それを取り外すことで、有害物質がそのまま大気中に放出され、環境問題が引き起こされる恐れがあります。

2. 騒音の増大: 触媒は排気管内の抵抗を通じて、音波を減衰させる作用も有しています。そのため、触媒を取り外すことで排気音が増し、特に自然吸気車両やロータリーエンジン車両ではその影響が大きく現れます。

法令と規制

日本では、自動車に対して触媒装置を装着することが法律で定められています。道路運送車両法や自動車排出ガス規制に基づき、標準装備の触媒を取り外すことは整備不良または不正改造とみなされ、違法とされます。このため、公道を走行すると検挙されるリスクがあります。また、車検においても触媒が装着されていない場合は不合格となりますが、車検のために一時的に純正品に交換する例が多く見受けられます。

モータースポーツにおける位置づけ

モータースポーツでは、触媒を装備しない走行が許可されていることがあり、それは過酷な条件下で触媒が早期に劣化したり、火災の原因となることを避けるためです。競技用コースでは道路運送車両法が適用されないため、特に汚染の範囲が制限されることも要因のひとつです。ただし、ドイツツーリングカー選手権（DTM）などでは触媒装着が義務づけられ、日本自動車連盟（JAF）も一定の規制を設けています。

触媒ストレートを使用することは合法的な公道運転においてはリスクを伴いますが、モータースポーツでは競技専用部品として利用できる場面があり、環境問題への配慮や規制の変化が今後も求められることでしょう。

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