言えずのI LOVE YOU (いえずのアイ・ラブ・ユー)
概要
シンガー
ソングライター、
KANが
1992年3月25日に
ポリドール・レコードより発表した通算12枚目の
シングル。本作は、同年にリリースされた自身初の
ベスト・アルバム『
めずらしい人生』に収録された後、オリジナル盤である3作目のアルバム『
GIRL TO LOVE』(1988年発売)からおよそ4年の歳月を経て改めて
シングルカットされた作品である。
この楽曲は、
KANが音楽活動を始めて間もない時期、すなわちデビュー直後に創作されたものである。楽曲の冒頭を飾る印象的なメロディは、共同で編曲を担当した
松本晃彦氏の発案によるものとされている。
シングルとして世に出されるにあたり、原曲(アルバム収録版)ではシンセサイザーによって奏でられていた
ストリングスパートが、生楽器による演奏に置き換えられ、全体が
リミックスされた。この新たな
ストリングスアレンジの譜面は、アルバム『野球選手が夢だった。』以降、
KAN氏の多くの作品に共同編曲者として携わる
小林信吾氏によって書き下ろされている。カップリングには、この
シングルのために書き下ろされた新曲「Day By Day」が収録された。
KAN自身は、この曲について音楽的な完成度の高さを認めつつも、発表当時の歌詞に込められた心情と、その後の自身の変化との間に隔たりを感じていることを明かしている。このような思いからか、
シングルカットされて以降、
KAN氏自身のコンサートツアーにおいて披露される機会は極めて少ない。1993年以降のツアーで演奏されたのは、これまでにわずか3回に留まっており、具体的には「LIONFLOORLADY」(1998年)、「NO IDEA」(2008年)、「ロック☆ご自由に♪」(2016年)のツアー内での演奏記録があるのみである。
タイアップ
「言えずのI LOVE YOU」は、複数のメディアでテーマソングとして使用され、広く認知された。
テレビ: TBS系列のバラエティ番組『
さんまのSUPERからくりTV』では、番組開始当初の初代エンディングテーマとして起用された。
ラジオ: STVラジオの深夜番組『
KANさんの
アタックヤング』では、アルバム『
GIRL TO LOVE』の発売直後からエンディングテーマとして使用された。その後、番組名が『
KANのアタヤンPUSH!』と改称された際も、引き続きエンディングテーマとして親しまれた。
これらのタイアップを通じて、多くのリスナーや視聴者に届けられた。
収録曲
全曲の作詞・作曲は
KANが担当している。
1.
言えずのI LOVE YOU
編曲:
KAN,
松本晃彦
ストリングス編曲:
小林信吾
2.
Day By Day
* 編曲:
小林信吾,
KAN
3.
言えずのI LOVE YOU(オリジナル・カラオケ)
本作は、
KANの多様な音楽性の一端を示すと同時に、発表後の作者自身の心境の変化やライブでの扱いの稀少性といった興味深い側面を持つ楽曲として位置づけられる。