GIRL TO LOVE

『GIRL TO LOVE』（ガール・トゥ・ラヴ）は、日本のシンガーソングライターであるKANが1988年6月25日に発表した、キャリア通算3枚目にあたるオリジナル・スタジオ・アルバムである。前作から約1年ぶりのリリースとなった本作は、当時のKANの音楽性を反映した楽曲群が収められていると見られる。

このアルバムの制作には、日本の音楽シーンを代表する多くの名プレイヤーたちが参加している。ドラムスパートは、岡本郭男、秋山浩一、青山純という個性豊かな3名のドラマーが楽曲に応じて担当した。ベースパートには、有賀啓雄、金田一中、伊藤広規といった、それぞれ異なるバックグラウンドを持つ実力派ベーシストが参加している。エレクトリックギターの演奏は、林部直樹、是永巧一、鳥山雄司、柴山和彦の4名が手掛け、楽曲に彩りを加えている。アコースティックギターに関しては、林部直樹と柴山和彦が担当し、繊細な響きを提供している。

キーボード関連では、松本晃彦がシンセサイザーを操り、サウンドの構築に貢献した。アコースティックピアノは、作曲者であるKAN自身と、嶋田陽一が担当している。オルガン演奏は矢代恒彦が行い、楽曲に深みを与えている。管楽器としては、著名なサックスプレイヤーであるジェイク・H・コンセプションがテナーサックスのソロやフレーズを吹き込んだ。ストリングスセクションは、ヴァイオリニストとして知られる金子飛鳥が率いる金子飛鳥グループが担当し、美しい響きを提供している。

バッキングボーカルには、メインボーカルであるKAN自身のほか、鎌田一夫と宮浦和美が参加し、楽曲に厚みとハーモニーを加えている。また、当時の音楽制作において重要な役割を担っていたシンセサイザーのプログラミングは、大竹徹夫が手掛けている。このように、『GIRL TO LOVE』は、当時の日本の音楽界を支える多くの優れたミュージシャンたちの才能が集結して制作されたアルバムと言える。

本作には、音楽メディアの変遷という歴史的な側面においても特筆すべき点が存在する。それは、『GIRL TO LOVE』が、KANのスタジオアルバムとして、アナログ・レコード盤がCDと同時にリリースされた最後の作品となったという事実である。1980年代後半は、レコードからコンパクトディスク（CD）へのメディア移行が急速に進んだ時期であり、多くのアーティストやレーベルがCDリリースを主軸にシフトしていった。そのような時代背景の中で、本作はまだアナログレコードという形態も同時展開された、KANのアルバムとしては区切りとなる一枚となったのである。さらに、アナログ盤のリリースという視点では、本作発表後にリリースされたシングル『Over You』（同じ1988年の11月25日発売）が、KANにとって最後のアナログ・シングル盤であったことも記録されている。このことから、『GIRL TO LOVE』は、CD時代の到来を告げる一方で、アナログレコード時代の名残をとどめる、KANのディスコグラフィにおける重要な переход期（推移期）を示す作品であると言える。収録曲に関する詳細な情報は提供されていないが、参加ミュージシャンの顔ぶれや当時のKANの作風から、様々なジャンルの要素を取り入れたポップス作品であったと推測される。

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