言論出版妨害事件

言論出版妨害事件の概要

言論出版妨害事件は、1960年代末から1970年代初頭にかけて日本で発生した重要な社会問題です。この事件は、宗教団体である創価学会とその支持政党である公明党が、自らに批判的な書籍の出版や流通を阻止するために、著者や出版社、書店などに圧力をかけた事例を指します。事件は、憲法に保障された言論の自由や出版の自由が侵害されたとして、激しい社会的批判に晒され、政教分離という観点からも大きな争点となりました。

事件の経緯

事件の発端は1969年11月に、明治大学の教授である藤原弘達が著書『創価学会を斬る』を出版しようとしたことです。この出版案が発表されると、即座に反発が起こり、藤原や出版元の日新報道社には抗議の電話や手紙が相次ぎました。公明党の幹部らは、自らの影響力を利用して出版が選挙に与える悪影響を懸念し、藤原に対して出版の取りやめや内容の書き直しを求めましたが、藤原はこれを拒否しました。

出版の妨害

書籍が実際に出版されると、創価学会関連の組織が取次店や書店に対してその本を扱わないように圧力をかけました。この結果、多くの書店が本を返本し、流通が途絶え、大手取次業者が配本を停止するという事態へと発展しました。このような圧力は出版業界において破格のものであり、言論の自由が著しく脅かされたという証拠ともいえるのです。

社会的反響と政治の介入

この事件をめぐって、当時の政治家である田中角栄が公明党からの依頼を受け、藤原に対して出版中止を求めるなど、強い政治的な介入も見受けられました。日本共産党はこの問題を告発し、他のメディアも次第にこの問題に目を向け始めました。1970年には国会でもこの問題が取り上げられ、出版の自由を巡る議論が激化しました。

創価学会・公明党の反応

事件が公になると、創価学会と公明党は「事実無根」と強く反論しましたが、次第に社会的な批判は高まり、池田大作会長が1970年に一連の経緯について謝罪する事態に至りました。彼は「言論妨害の意図はなかった」としつつも、過去の行動に対する反省を示し、今後は同様のことを繰り返さないことを約束しました。この出来事は「政教分離」の観点からも、多くの議論を呼び起こしました。

出版妨害とその後

この事件を受けて出版業界からは創価学会と公明党の行動に対する非難が相次ぎ、「言論の自由」を訴える声が高まりました。著者たちは出版妨害を受けたと主張し、世間の関心が集まる中で『創価学会を斬る』はベストセラー冊数を記録します。

結末とその後の影響

事件の最終的な結末として、自民党はどのように関与していたのかが明らかにはされなかったものの、国会での議論は地道に続けられていく。その後も創価学会は様々な批判に直面し、これまでの政治活動や出版物への介入が見直されることになります。

CIAの関与

最近の報告によっては、CIAがこの事件に関与していたともされ、特に日中関係の動きと絡めて、アメリカの戦略として創価学会の行動が分析されることもあります。

このように言論出版妨害事件は、日本の出版界、政治、信教の自由に与えた影響は計り知れず、日本社会における言論の自由の意味を再考させ、今もなおその影響を及ぼしていると言えるでしょう。

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