言論基本法

言論基本法について

概要

言論基本法（げんろんきほんほう、朝: 언론기본법）は、1980年に全斗煥を中心とした新軍部勢力によって制定された法律で、朝鮮半島の第五共和時代における重要な法的枠組みを提供しました。この法律は、権力の掌握に向けた言論規制の制度的仕組みを作り出したものであり、国民の表現の自由を守ることを目的としているとされていました。実際には、言論の自由が抑圧される結果となりました。

法は1980年12月31日に国家保衛立法会議で成立し、ドイツ法を参考にして言論の権利や義務、また表現メディアに関する規制や罰則を規定しました。公式の立法趣旨は「国民の表現の自由と知る権利を保護するため」とされましたが、内容はその逆となり、政府による厳しい規制が行われました。

主な内容

法律では、定期刊行物、放送、新聞について«登録義務制»を設け、これが事実上の許可制として機能しました。文化広報部長官は、発行停止命令権や登録取消権を持ち、編集人に対して特定の内容を排除する義務を課すことにより、表現の自由が著しく制限される仕組みが作られました。

さらに、法律に基づいて設置された放送委員会や言論仲裁委員会は、メディアへの権力統制を合法化する役割を担いました。こうした制約に対し、1983年以降、政治的な規制が緩和される中、在野の勢力や野党はこの法律の廃止を求め続けました。

言論仲裁委員会と反論権

言論基本法では、ドイツのバーデン州出版法の影響を受けた«訂正報道請求権»を設けましたが、新軍部による中央集権的な統制により、運用されることはありませんでした。また、言論仲裁委員会も設立されたものの、実効性を持つことはできませんでした。

報道指針の導入

法律の施行に伴い、文化広報部（現：国政広報処）により、日々の報道方法についての指針が作成されました。これにより、言論機関は厳しく統制されましたが、この情報は在野の民主言論運動協議会によって暴露され、社会問題となりました。

廃止の経緯

言論基本法は、1987年の民主化運動の高まりとともに廃止されました。特に「六･二九宣言」により国民の民主的な権利が認められ、その後、同法は1991年に正式に廃止されました。しかし、反論権や言論仲裁委員会の内容は後の法律に受け継がれ、今なお韓国のメディア環境に影響を与えています。

終わりに

言論基本法は、韓国の言論自由に対する違反の象徴となっており、民主化運動を通じた自由な表現の重要性を再認識させる出来事でもありました。現在、言論の自由は保障されていますが、その歴史は深く反省されるべきテーマです。

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