計数放電管

計数放電管の概要

計数放電管（けいすうほうでんかん）は、冷陰極放電管の一種であり、主としてパルス波を計数するために使用される表示管です。この管は、特にパルスが十個連続して発生すると、全電極間の放電が一回完了する特性から、デカトロン（Dekatron）とも称されます。同じく計数に関連する放電管にニキシー管がありますが、機能や構造が異なるため、両者は別の装置と見なされます。

構造

計数放電管は、通常、ガラス製の容器の内部に電極が配置されています。容器内にはネオンガスまたはアルゴンガスが封入されており、反応速度を向上させるために少量の水素やヘリウムが添加されています。これにより、パルス波に対する感度が高まり、信号の計数が正確に行えるようになります。

動作原理

計数放電管には主に二つの動作方式があります：シングル・パルス・タイプとダブル・パルス・タイプです。

シングル・パルス・タイプ

この方式では、円盤状の陽極の周囲に4本の棒状電極が配置されています。この電極群のうち3本が転移電極として機能し、パルス信号が主電極から転移電極へと右方向に移動します。放電の進行が一方向に固定されているのは、各電極間の距離が主電極と転移電極に応じて放電の道を作っているためです。これにより、非常に高い計数速度、すなわち毎秒約20,000パルスを実現しています。

ダブル・パルス・タイプ

こちらの方式では、3本の電極が円盤状の陽極の回りに配置され、そのうち2本が案内電極として機能します。パルス波が主電極から案内電極へと移相されることにより、放電の回転方向を変更できます。この特性により、左右どちらの方向にも放電を移動させることが可能ですが、動作の複雑さから計数速度はシングル・パルス・タイプよりも遅く、毎秒約4,000パルスとなります。

各方式の特性

• - シングル・パルス・タイプの利点:

- 高速計数（約20,000パルス/秒）
- 設計がシンプルで扱いやすい

• - シングル・パルス・タイプの欠点:

- 放電方向は一方向のみ

• - ダブル・パルス・タイプの利点:

- 放電を左右両方向に回転させることができる

• - ダブル・パルス・タイプの欠点:

- 計数速度が低下（約4,000パルス/秒）

現在の状況

近年においては、ロジックICの進歩により、計数放電管の同等機能を持つ新しい技術が普及し、実用的な用途での使用はあまり見られなくなっています。しかし、情熱を持つ愛好者によってタイマーや時計などのプロジェクトに利用されることもあります。

関連項目

• - 冷陰極管
• - ニキシー管
• - ロジックIC

参考文献

濱田成徳・和田正信共著『電子管工学』（コロナ社、1996年）ISBN 978-4339001709

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