ニキシー管

ニキシー管について

ニキシー管（Nixie tube）は、数字や文字、記号などの情報を表示するために使われる冷陰極放電管の一種です。一般的には、ガラス製の筒の内部にネオンガスが充填されており、特定の電圧を掛けることで表示内容を点灯させます。

構造と動作

ニキシー管は、内部に多数の陰極と1つのメッシュ状の陽極から成り立っています。各陰極は数字や記号の形をしており、通常は0から9までの数字および小数点を持っています。場合によっては、文字や特定の記号を表示するために設計されたものも存在します。電流がかかると、陰極から放出された電子が陽極に向かい、ガス中で光を発することで表示されます。このとき、発光色は使用するガスの種類によって変わります。ニキシー管のサイズは様々で、高さは10mmから135mmまでの範囲があります。

歴史

ニキシー管は1954年にハイデューブラザーズ研究所によって開発されました。その後、同社はバロース社に買収されましたが、実際には1920年代から類似のデバイスが特許化されていました。とはいえ、デジタルエレクトロニクスの技術が未成熟だったため、ニキシー管が広く普及するのは1950年代になってからでした。興味深いことに、ニキシーという名は「Numeric Indicator eXperimental No.1」の略称から来ていると言われています。

1960年代後半、ニキシー管は特に電卓やデジタルカウンタの分野で多く使用され、生産量が最大に達しました。しかし、約170Vの電源を必要とするため、1970年代には低電圧で動作するLEDやLCDが主流になり、ニキシー管は次第に姿を消していきました。高額な特許料もその衰退に拍車をかけました。

応用例と寿命

ニキシー管は、初期のデジタル電圧計や回路計、周波数カウンタ、自動券売機など様々な機器で使用されていました。また、軍事や研究機関における高価なデジタル式の時間表示器、さらには古いアーケードゲームの得点表示にまで応用されていました。名鉄7000系電車の速度計にも利用されていたことがあるのです。

平均的な寿命は古い製品でおよそ5000時間、新しいもので20万時間以上になることもありましたが、使用中の故障が多様であるため、一長一短と言えます。故障の原因にはガラスの破損や陰極の劣化、放電電圧の上昇などがあります。

現在の状況

1990年代をもってニキシー管の製造は終了しましたが、今でも愛好者の間ではニキシー管を使用した時計などのレトロアートが人気です。個人でも制作可能なため、ネットショップではストックの販売や、自作のニキシー管製品が取引されています。新たな生産は行われていないものの、ニキシー管はその独特の美しさから、一定の需要を保っています。

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