設楽ダム

設楽ダム（したらダム）

設楽ダムは愛知県北設楽郡設楽町内に位置する重力式コンクリートダムで、現在建設が進められています。このダムの主な目的は、大雨などによる洪水被害を軽減することや、河川環境の保全、新たな水道用水や農業用水の供給となっています。

概要

愛知県の東三河南部地域において、設楽ダムは以下の3つの目的のために計画されています。

1. 洪水被害の軽減
設楽ダムは、大雨により流入する水を一時的に貯えることで、豊川沿川地域の洪水被害を軽減します。

2. 河川環境の保全
雨水を貯水し、渇水時に徐々に放流することで、河川の正常な機能を維持し、環境を保全します。

3. 新規水利の供給
ダムの建設により、新たな水道用水や農業用水を提供することが目指されています。

ダム計画は1963年に始まりました。当初、電源開発株式会社が電力供給用ダムとして設計しましたが、地質的な問題からこの計画は中止されました。その後、1971年には通産省が揚水発電ダムとしての計画を提唱しましたが、1973年には多目的ダムとして変更され、当時の建設省と愛知県により、総貯水量8000万トン、ロックフィル方式のダムとして再計画が決まりました。
さらに総貯水量は1億トンに変更され、2008年には「設楽ダムの建設に関する基本計画」が公示されるも、地元住民団体からの強い反対運動が展開され、立木の保護活動が行われるなど複雑な経緯を辿っています。

2016年に国土交通省は、設楽ダムが2026年度までに完成予定であると発表しましたが、2022年5月の建設事業部会にて、完成の見込みが2026年度から2034年度に延び、事業費も約2,400億円から約3,200億円に増額されたことが報告されました。

歴史

設楽ダムの歴史は以下のように展開されてきました：

• - 1963年（昭和38年）: 電源開発株式会社が発電用ダムを計画。
• - 1973年（昭和48年）: 建設省（当時）と愛知県が、総貯水量8000万トンのロックフィル式ダムの計画を着手。
• - 1978年（昭和53年）: 建設省が実施計画調査を開始。
• - 2009年（平成21年）: 国、愛知県、設楽町が設楽ダム建設同意の協定書に調印。
• - 2017年（平成29年）: 仮排水トンネルの建設を含む「転流工」が着手されました。

設楽ダムの進展と計画には、地域住民との関係や環境保全に関する課題が絡んでおり、今後の展開が注目されています。

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