診療看護師

診療看護師とは

診療看護師（しんりょうかんごし、英: Nurse practitioner、略称：NP）は、患者の生活の質（QOL）を向上させることを目的として、医師や他の職種と連携・協力し、科学的な根拠に基づいた医療を提供できる専門の看護師です。日本においては、日本NP教育大学院協議会が認めた教育課程を修了し、その後に同協議会が実施する資格認定試験に合格することが求められます。この資格は海外のナース・プラクティショナーをモデルにしたものであり、特定行為を行う能力を有していますが、現在は民間資格として位置付けられています。

現状、日本では「診療看護師」が正式に制度化されてはいませんが、NP協議会が認定した看護師は、特定行為として医行為が認められています。これには、挿管や腹腔穿刺といった高度な医療行為も含まれます。ただし、診療看護師が行う医行為は、医師の指示に基づくものであり、米国のナース・プラクティショナーのように独自に一定の診断や治療を行うことは認められていません。特に注意が必要なのは、この資格が日本看護系大学院協議会が認定するJANPUナースプラクティショナーとは別のものである点です。

診療看護師の業務

診療看護師は、以下の7つの役割を果たします：

1. 包括的健康アセスメント能力 - 患者の健康状態を全般的に評価する能力。
2. 医療処置・管理の実践能力 - 必要な医療行為を適切に実施する能力。
3. 熟練した看護実践能力 - 高度な看護スキルを駆使して看護サービスを提供する能力。
4. 看護マネジメント能力 - 看護業務を効果的に管理し、調整する能力。
5. チームワーク・協働能力 - 他の医療職と連携し、協力して業務を遂行する能力。
6. 医療保健福祉制度の活用・開発能力 - 適切な制度を理解し、患者のニーズに応じた活用を行う能力。
7. 倫理的意思決定能力 - 医療に関連する倫理的な問題に対して判断する能力。

特定行為研修と養成プロセス

診療看護師は、大学院で特定行為研修を受けるため、特定看護師としての資格も有しています。教育制度や研修内容には若干の違いがあるものの、診療看護師は看護の専門性を高める重要な役割を担っています。一般的に、看護師は日本ＮＰ教育大学院協議会の認可を受けた大学院において、最短2年間の教育を受けた後、実地研修を経てNP認定試験を受け、合格することで診療看護師として認定されます。この認定は5年ごとに更新が必要で、更新時には研究活動や実績に関する書類の提出が求められます。

人数と資格化の動き

2021年4月時点で、日本にはプライマリ領域と小児領域で141名、クリティカル領域で442名、合計583名の診療看護師が認定されています。今後、NP協議会や日本看護協会は、ナース・プラクティショナーに類似した資格を導入し、医療のニーズに応じた役割の拡大が必要であると認識しています。日本看護協会や関連団体は、国会に向けてこの資格の創設を要請しています。

結論

診療看護師は、看護職の中でも特に高度な知識と技術を持った専門職であり、医療チームにおいて重要な役割を担っています。今後、制度化が進むことで、その役割がさらに強化され、患者のQOL向上に寄与することが期待されます。

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