証拠方法

証拠方法とは

証拠方法とは、民事訴訟および刑事訴訟において、裁判官が五感を用いて直接取り調べることができる有形物のことです。訴訟において事実を立証するために用いられ、裁判の結果を左右する重要な要素となります。

民事訴訟における証拠方法

民事訴訟では、主に以下の2種類の証拠方法が用いられます。

人的証拠（人証）: 人の証言や供述を証拠とするもの。証人、鑑定人、当事者本人が含まれます。
物的証拠（物証）: 物そのものや、物に関する文書などを証拠とするもの。文書や検証物が含まれます。

手続き

証拠の種類に応じて、証拠調べの手続きが定められています。

証人: 証人尋問が行われます。
鑑定人: 鑑定が行われます。
当事者本人: 当事者尋問が行われます。
文書: 書証として取り扱われます。
検証物: 検証が行われます。

証拠能力

民事訴訟においては、原則として証拠能力に制限はありません。つまり、どのようなものでも証拠として提出することができます。ただし、提出された証拠が事実の立証に役立つかどうかは、裁判官が判断します。

刑事訴訟における証拠方法

刑事訴訟では、主に以下の3種類の証拠方法が用いられます。

人証: 人の証言や供述を証拠とするもの。証人、鑑定人が含まれます。
証拠物: 犯罪の証拠となる物品。
証拠書類: 捜査機関が作成した書類や、その他事件に関する書類。

手続き

証拠の種類に応じて、証拠調べの手続きが定められています。

証人: 証人尋問が行われます。
鑑定人: 鑑定人尋問が行われます。
証拠物: 展示によって取り調べられます（刑事訴訟法306条）。
証拠書類: 朗読（同法305条）または要旨の告知（刑事訴訟規則203条の2）によって取り調べられます。

証拠能力

刑事訴訟においては、証拠能力が認められるためには、以下の要件を満たす必要があります。

関連性: 証拠が事件と関連性があること。
伝聞法則・自白法則に違反しないこと: 伝聞証拠や、強制された自白は証拠として認められません。
違法収集証拠排除法則に反しないこと: 違法な手段で収集された証拠は、証拠として認められません。

これらの要件を満たさない場合、証拠能力が否定され、裁判で証拠として用いられることはありません。

まとめ

証拠方法は、民事訴訟と刑事訴訟において、事実を立証するための重要な手段です。訴訟の種類によって、証拠方法の種類や手続き、証拠能力に違いがあるため、注意が必要です。 証拠の収集と適切な提出は、訴訟を有利に進める上で不可欠な要素となります。

関連項目

証拠
証拠調べ
証人
* 証人喚問

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