証空

証空（しょうくう）

証空（1177年 - 1247年）は、平安時代末期から鎌倉時代にかけての僧侶で、西山浄土宗、浄土宗西山禅林寺派、浄土宗西山深草派の開祖です。法然の高弟として知られ、その学識と教化活動は、後世の浄土教に多大な影響を与えました。一般には西山国師（せいざんこくし）または西山上人として知られています。

生涯

証空は、村上源氏の出身で、幼くして久我家へ養子に出されました。14歳で出家し、法然に師事して浄土教を学びました。法然の存命中、21年間にわたり師事し、その教えを深く理解したと伝えられています。証空は非常に優秀で、一度見聞きしたことは全て理解できたと言われています。法然の著書『選択本願念仏集』の編纂においても、重要な役割を果たしました。

1207年、法然が承元の法難で流罪となると、証空は法然の住房を離れ、東山小坂に移ります。その後、法然の死後、天台座主慈円の計らいにより、西山善峰寺北尾往生院（現在の三鈷寺）に移り住み、西山義と呼ばれる独自の教えを確立しました。

1215年から1227年までの12年間、往生院を拠点として京洛内外で『観無量寿経疏』などの講義を連日行い、その記録は『観門要義鈔』として現存しています。1227年の嘉禄の法難では、法然の弟子である信空とともに流罪を免れました。

1229年には奈良の當麻寺を訪れ、『当麻曼荼羅』が『観無量寿経疏』を図画化したものであると見抜き、その流通に尽力しました。1243年には後嵯峨天皇の勅命により歓喜心院を創建し、宮中で西山義を講じました。

1247年、証空は自らの死期を悟り、門弟たちに菩薩戒を授け、『観無量寿経』の要義を説きました。その後、71歳で白河遣迎院にて入寂。遺体は西山三鈷寺に葬られ、華台廟が建立されました。

思想と業績

証空の思想は、法然の教えを基盤としつつも、独自の解釈と展開が見られます。特に、『観無量寿経』の研究に力を注ぎ、その注釈書である『観門要義鈔』は、浄土教研究において重要な文献となっています。

また、証空は『当麻曼荼羅』の価値を見抜き、その普及に努めたことでも知られています。この曼荼羅は、『観無量寿経』の教えを視覚的に表現したもので、浄土教の理解を深める上で重要な役割を果たしました。

証空の教えは、その死後、弟子たちによって発展し、西山浄土宗、浄土宗西山禅林寺派、浄土宗西山深草派という三つの流派を生み出しました。これらの流派は、現在も浄土教の主要な宗派として活動しており、証空の教えは今日まで受け継がれています。

主な著作

証空の著書は多岐にわたり、教相部（教義に関するもの）と事相部（儀式作法に関するもの）に大別されます。

教相部
『観門要義鈔』
『観経疏他筆鈔』
『観経疏大意』
『観門義草案』
『三部経論義記』
『三縁義』
『定散料簡義』
『五段鈔』
『安心鈔附略安心鈔』
『善慧上人御法語』
『白木念仏法語』
『述誠』
『鎮勧用心』
『女院御書』
事相部
『當麻曼荼羅註記』
『観経秘決集』
『選択密要決』
『四十八願要釈鈔』
『修業要決』
『當麻曼荼羅供式』
『當麻曼荼羅八講論義鈔』

門弟

証空の門下からは、多くの高僧が輩出しました。特に、浄音（西谷流）、立信（深草流）、証入（東山流）、証慧（嵯峨流）の四人は「西山四流」と呼ばれ、それぞれの流派を開きました。また、蓮生は40年にわたり証空に師事し、その講説を記録した『積学房鈔』を著しました。

関連寺院

証空が建立に関わった主な寺院としては、以下のものがあります。

西山往生院（現在の三鈷寺）
歓喜心院
浄橋寺
* 遣迎院

歌

証空は以下の歌を詠んでいます。

生きて身を　はちすの上にやどさずば　念仏まうす　甲斐やなからん

まとめ

証空は、法然の教えを継承し、浄土教の発展に大きく貢献した僧侶です。その思想は、西山浄土宗をはじめとする各宗派に受け継がれており、現代の浄土教にも影響を与え続けています。彼の学識と教化活動は、後世の浄土教に多大な影響を与え、現在でも多くの人々に敬われています。

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