試作単座奇襲機

試作単座奇襲機

試作単座奇襲機（しさくたんざきしゅうき）は、日本の陸軍と海軍が共同で開発を進めた攻撃機です。この機体は特に1945年の終戦前に実施された「南方自活計画」に基づいて設計されました。このプロジェクトにおいては約250機分の製造が計画され、使用されるエンジンは1,000馬力に達するため、空冷式の発動機とプロペラが用意されました。

計画の背景

1945年4月、シンガポールにおいて、日本陸海軍の関係者によりこの特殊攻撃機の現地生産に関する計画が立案されました。この計画は、日本の戦局が厳しさを増す中での自活能力を高めることを目的としていました。特に南方地域において必要とされる攻撃能力の強化が求められていたため、現地生産が急がれました。

設計の主導者は、陸軍司政官として第3航空軍司令部に派遣された東京航空の技師、井上真六氏であり、彼は陸軍航空技術研究所南方出張所や第1野戦航空修理廠との連携も深めながら設計作業に取り組みました。設計が始まったのは1945年5月の初めであり、その迅速な進行が求められていました。

機体の仕様

製造は1945年6月から開始されたものの、終戦によって開発が中止されてしまったため、組み立て中だった数機の胴体や翼は廃棄されていきました。試作単座奇襲機の機体設計は、基本的に鋼管を用いた胴体骨組みを持ち、それ以外の部分は木製で構成されています。主翼と尾翼の設計は、当時のキ107に近い形状ですが、全体的には機体サイズに合わせて拡張されています。

エンジンには、現地調達されたものが使用され、また固定脚などの各種装備も破損機から流用されるという経済的な工夫がなされていました。特に、この機体は降下角60度で急降下攻撃が行えるような設計が施されており、その機動力には特に期待が寄せられていました。

諸元

「試作単座奇襲機」の基本的な諸元は以下の通りです：

• - 全長：8.35メートル
• - 全幅：11.35メートル
• - 主翼面積：20.0平方メートル
• - 自重：2,500キログラム
• - 離陸重量：3,000キログラム
• - エンジン：現地調達品の空冷1,000馬力級エンジン×1
• - 武装：250キログラムの爆弾×1
• - 乗員：1名

参考文献

本機に関する詳細な情報は、以下の文献に記載されています：

• - 野沢正著『日本航空機総集 立川・陸軍航空工廠・満飛・日国篇』出版協同社、1980年。
• - 石黒竜介、タデウシュ・ヤヌシェヴスキ共著『日本陸海軍の特殊攻撃機と飛行爆弾』大日本絵画、2011年。

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