試製二型機関短銃

試製二型機関短銃

試製二型機関短銃（しせいにがたきかんたんじゅう）は、第二次世界大戦時代に日本で開発された短機関銃です。この武器は、日本陸軍の兵器開発の過程で生まれたものであり、当時のニーズに応えるために試作されました。

開発の背景

この機関短銃は、南部式短機関銃の試作モデルを基に構築されました。特に、南部麒次郎という銃器設計家が手がけた南部式機関短銃一号と二号が、そのルーツとなります。これらの試作品は、基本的な構造は共通しているものの、外観は大きく異なります。南部式機関短銃一号は、銃把と銃床が分離した形状を持ち、南部式機関短銃二号は一体化されたデザインでした。

この開発段階において、数々のバリエーションが試みられ、実際の打撃力や射程などが検証されました。たとえば、南部式機関短銃一号は、約3,000gの重量で、30発以上の装弾数を持ち、700mの距離で防寒服を着た兵士を狙撃できる能力を有していました。対照的に、南部式機関短銃二号は、2,000g未満の軽量化を図り、50発以上の装弾数を可能とし、500〜600発/分の発射速度を実現しました。

試製二型機関短銃の改良

試製二型機関短銃は、南部式機関短銃二号を基盤に、数々の改良が加えられました。たとえば、銃剣を取り付けるための装置や、銃身の放熱性を向上させるための設計変更が施されました。当初の50発装弾の弾倉は扱いづらさが指摘されたため、30発装弾に短縮されました。しかし、この機関短銃は正式採用には至らず、陸軍上層部がその有効性を十分に評価しなかったため、実戦での運用はありませんでした。

機関短銃はその弾薬消費量が多く、資源の限られた日本陸軍には合わない兵器とされたのです。また、すでに他の優秀な軽機関銃が存在していたため、新たな機関短銃に対する関心は薄かったとされています。

特徴

試製二型機関短銃は、銃把と銃床が一体化した独自のデザインを持ち、切替装置やエアバッファーレバーといった機能が含まれています。顕著な特徴としては、装弾数30発のバナナ型弾倉の取り付けと、銃剣装置が上げられます。

戦後とその後

第二次世界大戦末期には、自衛用として戦車兵に試製二型機関短銃が注目されました。その結果、試製二型機関短銃改良車載型が開発され、主に陸軍の車両内で使用されることを目指しました。残念ながら、正式採用には至らず、数少ない試作が残されることになりました。

興味深い点は、戦後の朝鮮戦争において、この試製二型機関短銃に非常に似た武器が発見されたことです。アメリカ軍が鹵獲した中国製の武器が、試製二型機関短銃の設計をベースにしていた可能性が高いとされています。

名称について

試製二型機関短銃は、誤って「試製二式短機関銃」と呼ばれることがありました。『二型』という名称は『試作段階の二号機』を示しており、試製銃の識別に用いられた記号であったため、注意が必要です。また、当時の日本陸軍では「機関短銃」という用語が使用され、今で言うサブマシンガンとは異なるカテゴリーとして扱われていました。

登場作品

試製二型機関短銃は、近年では漫画『フー・ファイター』や、ゲーム『Enlisted』に登場し、当時の歴史的な兵器としての認識を深める役割を果たしています。

このように、試製二型機関短銃は日本の兵器開発史における重要な一ページとなっており、その性能や開発背景は今なお多くの人々の興味を引きつけてやみません。

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