試製五式四十五粍簡易無反動砲

試製五式四十五粍簡易無反動砲の概要

試製五式四十五粍簡易無反動砲は、大日本帝国陸軍において開発された対戦車用の無反動砲です。この砲は、特に対戦車戦闘を意識して設計されたものであり、その独自の構造と特徴が持ち味となっています。開発は昭和18年（1943年）後半から始まり、昭和19年（1944年）12月には試作品が造兵廠で製作されましたが、量産には至りませんでした。

基本的な構造

試製五式四十五粍簡易無反動砲は、主に砲身、砲尾、副筒撃発機から成り立っています。砲身は厚さ4mmで、全長は1,000mm。内径が45mm、外径が57mmの鉄製の筒です。この砲身は前装式で、実際に有効な推進長さは600mmに制限されていました。また、砲身の中央部分にはグリップが設けられ、引き金や点火装置が配置されています。

さらに、後端部には長いコーン状のノズルを持つ砲尾がねじ込まれています。点火管室には、7.7mm重機関銃の弾薬を切断して作られた点火管が収容され、点火薬として火薬1gが封入されています。

発射機構

撃鉄室にはバネ仕掛けの撃鉄があり、引き金を引くことで点火管を発火させる仕組みになっています。また、安全栓も用意されており、撃鉄をロックすることで不意の暴発を防止しています。弾丸には特製の穿甲榴弾を使用し、その成分には活機室が含まれています。弾頭は金属製で、爆風が後方に放出される仕組みが採用されています。

発射方法と使用法

発射時は、弾丸を薬筒と結合し、砲口から装填されます。立射・膝射・伏射の三つの方法があり、それぞれの姿勢に応じた工夫がなされています。発射後は、砲身にたまった燃焼ガスを除去するため、清掃が必要です。特に発射直後が理想的とされています。

射撃特性

試製五式四十五粍簡易無反動砲は、最大射程が150mと見込まれていましたが、実際の有効射程は短かったとされています。命中精度を高めるためには、対象物に近づく必要があり、奇襲を行う戦術が求められました。そのため、実戦での投入が限られたのも事実です。

結論

試製五式四十五粍簡易無反動砲は、特にその構造と運用方法において、当時の技術の粋を集めた作品でした。無反動砲という特性から、使い捨ての兵器ではなく、戦術的に複数回使用できるという利点もありました。

この砲は最終的には量産には至りませんでしたが、その設計理念や技術的なアプローチは後の無反動砲の発展に寄与したと考えられています。

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