試製五式4.7cm自走砲

試製五式四十七粍自走砲 ホルについて

試製五式四十七粍自走砲ホルは、第二次世界大戦の終わりに日本陸軍が開発した自走砲です。この車両は、九五式軽戦車の車体を基に設計され、搭載する武器に一式四十七粍戦車砲II型を計画していました。その特異な特徴は、小型かつ低姿勢であり、駆逐戦車のヘッツァーと似た性格を持っている点にあります。戦車型よりも重量が増加したため、履帯幅は350mmと広幅のものを採用し、安定性を高める工夫がなされました。

この車両の構築は、突撃砲に似た設計で、九五式軽戦車から砲塔を取り除き、できる限り低姿勢にまとめられています。戦闘室の上面は完全に密閉されていないため、一部は開放されています。低い車高は隠密性に優れており、敵を待ち伏せするような防御戦闘において効果的に使用されることが予想されています。ここで搭載予定の四十七粍砲は、当時の主砲としては威力に不足があるとされますが、その貫通性能から、アメリカ軍のM4中戦車の側面や背面を狙うことで十分に活躍の余地が考えられます。

この計画が始まったのは昭和20年の2月で、わずか2ヶ月後の4月には設計が完成しました。砲は大阪の造兵廠が製作し、車体の開発は第四陸軍技術研究所によって行われました。6月末には四十七粍砲I型が完成し、試作車に実装されました。その後、昭和20年度時点では四十七粍砲I型またはII型のいずれかが搭載される可能性があるとされ、最終的に試作車1輌が完成したと伝えられています。しかし、試作車が実際に搭載したのはどの型なのか、量産車はどのくらい完成したのかは不明な点が多く残されています。

『神鋼五十年史』には記載された内容で、九五式軽戦車の改造が急速に進められ、ホルと呼ばれる対戦車自走砲が作られたとされる部分が注目されています。もしこの記載が事実であれば、試作車を超えて約50輌のホルが量産されたことになります。しかし、これに対してはさまざまな疑問が散見されます。

1. 社史を編纂する人々は、情報を元に記述していますが、その中で情報の誤解や変化があり得ること。社史はあくまで資料の一部として考えるべきです。
2. 50両の生産が事実ならば、何らかの形でその証拠が残っているはずです。もし製造されたのなら、アメリカ軍による取得や記録が存在するはずですが、それは見つかっていません。
3. 生産指示や材料調達は行われた可能性がありますが、実際には数両程度の生産にとどまっていたのではないかという意見もあります。

ホルについては、ゲーム『R.U.S.E.』にも登場しており、日本の駆逐戦車として紹介されています。このように、試製五式四十七粍自走砲ホルは、技術的な特異性とその運用の可能性から、多くの関心を寄せられている車両と言えるでしょう。

もう一度検索