詰所

詰所（つめしょ）: 一時的宿泊施設

詰所とは、宿泊や仮眠、待機をするための施設を指し、特に江戸時代の公式行事の際には、大名が利用した待機場所としても知られています。このような施設は、屯所（とんしょ）とも呼ばれ、一時的な滞在の場として機能しました。

歴史と使用例

江戸時代において、詰所は大名などが自らの家格に応じて定められた場所に設けられ、公式行事等に参加する際の待機スペースとして利用されました。また、門前町においても、寺社を訪れる参拝者のためのリーズナブルな宿泊施設として機能しました。

例えば、奈良県天理市では天理教教会本部の周辺に多くの詰所があり、全国の信者が集う場として使われています。この詰所は、教会での祭事に参加する際の宿泊や、天理教修養科の修養生が滞在するための施設でもあります。

現代の詰所

さらに、交通機関の乗務員や警備員、建設現場の作業員のための休憩所としても利用され、非連続勤務の職業に就いている人々の待機スペースとして重要です。最近では、工場の出入口で警備を行ったり、監視業務を担当する守衛や警備員が、待機所と仮眠場所として詰所を使用することがあります。

京都の詰所

特に京都の東本願寺周辺は詰所の集まる地域として有名で、富山県詰所や飛騨詰所、東浅井詰所など、複数の詰所が存在しています。これらは、過去の火災により被災した際に、門信徒たちが集って再建の拠点とした場所であり、その歴史は古く、文政年間の記録でも63軒の詰所があったことが示されています。時代が進むにつれて、詰所の数は減少し、昭和初期には40軒、1969年には22軒までに減りました。しかし、各詰所では伝統的な行事である十日講や二十五日講が今も執行されています。

これらの詰所は、単に宗教的・文化的な役割を果たすだけでなく、現在では地域の人々や外国人旅行者も利用できる宿泊施設となっており、観光客にとってもアクセスしやすい宿泊地となっています。

別名「おこや」

詰所は、別名「おこや」とも呼ばれていました。これは、詰所に滞在していた門信徒が、定期的に開催される法話を聴いたり、経本を読んだりする機会を設け、そのために出資して建設した場所を指します。このような習慣が「お講屋」となり、次第に「おこや」という通称が定着しました。1969年当時、滋賀県や岐阜県、愛知県などにも詰所があったものの、その数は年々減少傾向にあります。

詰所は、歴史と文化が交差する場所として多くの人々に親しまれ、今でも重要な役割を果たしています。

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