誓い (宇多田ヒカルの曲)

宇多田ヒカル「誓い」：ゲーム音楽とラブソングの融合

宇多田ヒカルの楽曲「誓い」は、2018年6月27日に発売された7thアルバム『初恋』に収録された楽曲で、ゲームソフト『キングダム ハーツIII』のテーマソングとしても起用されました。その後、英語詞バージョン「Don't Think Twice」とともに、22ndシングル『Face My Fears』(2019年)にも収録されています。

制作の背景

「誓い」の制作は、宇多田ヒカルが6thアルバム『Fantome』を完成させた直後に始まりました。オファーを受けた当初、宇多田は「抜け殻」状態だったものの、制作に取り掛かるとすぐに意欲的なモードに入ることができたと語っています。また、Skrillexとの出会いもこの楽曲に影響を与えています。Skrillexは、宇多田から「誓い」のリミックスを依頼された際、楽曲のジャジーなメロディがダンス・リミックスには向いていないと判断し、新たな曲を一緒に作ることを提案しました。その結果生まれたのが「Face My Fears」です。

ミュージシャンとの出会い

「誓い」は、宇多田ヒカルがドラマーのクリス・デイヴと出会うきっかけとなった楽曲でもあります。宇多田はデモテープをミュージシャン仲間に聴かせた際、クリスのドラムのノリが合うと勧められ、彼にオファーしました。クリスは、宇多田がこだわっていたタメやアクセントの置き方を自然に汲み取り、素晴らしい演奏を披露したと言います。

レコーディングとミキシングは、前作『Fantome』に引き続きスティーヴ・フィッツモーリスが担当し、ボーカルレコーディングは小森雅仁が手掛けました。また、ジョディ・ミリナー（ベース）、ベン・パーカー（ギター）、サイモン・ヘイル（ピアノ）といった前作からのメンバーも参加し、楽曲に深みを与えています。

音楽性

「誓い」は、恋人たちの切ない想いを歌うソウルフルなラブソングです。リズムの面では、8分の6拍子としても4分の4拍子としても聴くことができる「ポリリズム」が取り入れられており、スウィングする4分の4拍子のドラムが特徴的です。宇多田ヒカルは、16分音符を意識して歌い、感情の揺れ動きを表現しています。特に、2番目のサビのあとに現れるパートでは、ワルツ的なリズムの上にストレートな16ビートをかぶせる変則的な譜割が見られます。また、サビで徐々に増えていくコーラスは、宇多田がデモテープの段階から重要視していた要素です。

ボーカル・レコーディングを担当した小森雅仁は、「誓い」を「キャッチーさと深みを兼ね備えた独創的な楽曲」と評価しています。一般の音楽ファンにも聴きやすく、音楽マニアやミュージシャンにも評価される奥深さがあると言えるでしょう。

リリースとプロモーション

「誓い」は、『初恋』に収録された後、「Face My Fears」のシングルにも収録されました。2018年には、『ミュージックステーションウルトラFES 2018』で歌唱され、多くの視聴者に感動を与えました。

チャート成績

シングルとしてリリースされていませんが、「誓い」はオリコン週間デジタルシングルランキングで8位、Billboard Japan Hot 100で51位を記録しました。米ビルボードでは、「ワールド デジタルソング セールス」で最高位3位を獲得するなど、国内外で高い評価を得ています。

「誓い」は、宇多田ヒカルの音楽的才能が凝縮された、美しくも切ない楽曲です。ゲーム音楽ファンだけでなく、多くの音楽ファンに愛される名曲と言えるでしょう。

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