誓い (映画)

映画『誓い』について

1981年に公開されたオーストラリア映画『誓い』（原題：Gallipoli）は、第一次世界大戦中のガリポリの戦いを背景に、二人の若い兵士の運命を描いた戦争ドラマです。監督は、映像美に定評のあるピーター・ウィアーが務めました。

制作の背景

ピーター・ウィアー監督は、1975年の『ピクニックatハンギング・ロック』でその映像表現が高く評価されていました。本作では、同作でも撮影監督を務めたラッセル・ボイドと再びタッグを組み、オーストラリア撮影監督協会賞を受賞しています。主演には、『マッドマックス』で一躍有名になったメル・ギブソンが抜擢されました。当時25歳だったギブソンは、本作後もオーストラリアを拠点に活動し、『リーサル・ウェポン』シリーズでハリウッドに進出するまで、オーストラリア映画界で活躍しました。

作品構成

映画は、前半と後半で大きく構成が異なります。前半は、オーストラリアの壮大な自然を背景に、メル・ギブソン演じる主人公と仲間たちが、軍隊への入隊を志願するかどうかを悩む青春ドラマが展開されます。後半では、一転して、憧れとはかけ離れた過酷な戦場の現実が描かれています。この対比が、戦争の虚しさや悲惨さを際立たせています。

ストーリー

1915年、第一次世界大戦下のオーストラリア。徒競走が得意なフランクとアーチーの二人の青年は、イギリスへの援軍として組織されたアンザック軍団に志願します。フランクは歩兵隊、アーチーは騎兵隊に配属されますが、ガリポリで再会し、共に塹壕で戦うことになります。足が速いフランクは伝令係に任命され、総攻撃が始まる中、重要な伝令任務を受け、味方を救うために激戦地を駆け抜けます。

キャスト

フランク：メル・ギブソン
アーチー：マーク・リー
ジャック：ビル・カー
ビリー：ロバート・グラブ
スノーイ：デヴィッド・アーギュ
バーニー：ティム・マッケンジー
ストックマン：ヒース・ハリス
バートン少佐：ビル・ハンター

評価

興行成績

制作費およそ300万ドルに対し、オーストラリア国内で1,100万ドル以上、アメリカでも500万ドル以上の興行収入を記録しました。オーストラリアでは非常に高い評価を受け、2008年のランキングでは歴代12位にランクインしています。2009年の報告では、本作の興行収入を換算すると、オーストラリアの歴代興行収入で5位になるとされています。一方で、アメリカでは1981年の興行収入ランキングで77位にとどまりました。

受賞とノミネート

本作は、オーストラリアを中心に多くの賞を受賞、ノミネートされました。主な受賞歴は以下の通りです。

オーストラリア映画テレビ芸術アカデミー賞（AACTA Award）
受賞：作品賞、監督賞（ピーター・ウィアー）、主演男優賞（メル・ギブソン）、助演男優賞（ビル・ハンター）、脚本賞、撮影賞、編集賞、音響賞
ノミネート：主演男優賞（マーク・リー）、助演男優賞（ビル・カー）、美術賞、衣装デザイン賞
オーストラリア撮影監督協会賞（ACS Award）
受賞：撮影監督オブザイヤー（ラッセル・ボイド）
オーストラリア作家組合産業イベント賞（AWGIE Award）
受賞：長編映画部門オリジナル脚本賞（デビッド・ウィリアムソン）
ゴールデングローブ賞
ノミネート：最優秀海外作品賞
ナショナル・ボード・オブ・レビュー
NBR賞：ベスト10に選出
ヴェネチア映画祭
ノミネート：金獅子賞（ピーター・ウィアー）

関連事項

ガリポリの戦い：第一次世界大戦中の激戦地
オーストラリア・ニュージーランド軍団（ANZAC）：オーストラリアとニュージーランドの連合軍
『砂漠の勇者』：アンザック軍団の軽騎兵を題材にした1987年の映画
『ディバイナー 戦禍に光を求めて』：2014年の映画。ラッセル・クロウが監督・主演

外部リンク

誓い - allcinema
Gallipoli (1981) - オールムービー（英語）
Chikai (1981) - IMDb（英語）

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