誓いの休暇

映画『誓いの休暇』

概要

『誓いの休暇』（ちかいのきゅうか、英題：Ballad of a Soldier）は、1959年にソビエト連邦で制作された映画で、制作はモスフィルム、監督はグリゴーリ・チュフライです。この作品は、戦争と愛の狭間で揺れる人間の心を描がき、1960年のカンヌ国際[[映画祭]]で最優秀賞を受賞するなど、多くの国際的な賞を獲得しました。

あらすじ

物語の主人公は通信兵アリョーシャ。彼は、戦場で敵の戦車を撃破した功績により将軍から勲章を授与されますが、何よりも母のもとに帰りたいと願い、特別に6日間の休暇を獲得します。アリョーシャの心は故郷に向かっていますが、その帰郷の道のりにはいくつもの困難が待ち受けています。

道中、彼は戦場の仲間から妻への伝言を頼まれ、また復員する傷病兵を助けるなどしながら、列車の乗り継ぎに遅れをとってしまいます。その間にも彼の心は故郷への思いで満ちていますが、現実は厳しいものです。やっとの思いで乗り込んだ軍用貨物列車の中で、彼は少女シューラと出会います。ふたりは一瞬の間に惹かれ合いますが、アリョーシャが軍の戦況を知るために水汲みに行くと、貨物列車は彼を置き去りにしてしまいます。

アリョーシャはシューラを追いかけるために、トラックを運転する老婆に乗せてもらい、彼女との再会を果たします。心を通わせた二人ですが、アリョーシャは急な用事を思い出し、再び街へと出かけます。訪れたアパートでは、僚友の妻が他の男と過ごしているのを目撃し、信頼が裏切られたことに驚きます。その後、彼は僚友の父親に石鹸を手渡しながら、何も知らぬ彼のことを偽りながら語ります。

ついに、シューラとの別れの時が訪れます。実際、お互いの気持ちには何とも言えないものがあったのに、アリョーシャは何も言わず列車に乗り込んでしまいます。故郷に近づくも、空襲に遭遇し、鉄橋が破壊され進むことができなくなります。アリョーシャは、川を筏で渡り、再びトラックを捕まえて故郷へ急ぎます。

ようやくたどり着いた村で、アリョーシャは母親と再会します。母との僅かな対話の後、彼は「必ず帰ってくるよ、ママ」と告げ、急いで戦場へ戻っていくのでした。しかし、戦争が終息した後も、アリョーシャは村に戻ることがありませんでした。長い時が経ち、老いた母親は麦畑で帰らぬ息子をずっと待ち続けることになります。

監督の意図

チュフライ監督は、過去に『女狙撃兵マリュートカ』で評価を受けた後、この作品が戦争現象のもう一つの側面、即ち兵士たちの人間性を描くべきだと考えたと言います。彼と脚本家の意図は、優れた兵士としての評価だけでなく、彼らがいかに深い愛を持ち、母国を思う心に満ちているかを描くことでした。

影響

また、この映画はアニメーション監督の宮崎駿のお気に入りの作品としても知られており、彼の作品に対する影響を与えたこともあります。このように『誓いの休暇』は、時代を超えて多くの人に愛される作品で、戦争の現実と人間の絆を描いた名作としての地位を築いています。

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