諏訪兼位

諏訪兼位：地球科学と詩の調和

1928年生まれの諏訪兼位氏は、日本の地球科学に多大な貢献を果たした著名な学者です。専門は岩石学と地質学で、名古屋大学名誉教授、日本福祉大学名誉教授を歴任しました。その業績は、学術研究のみならず、科学の啓蒙や文化活動にも及び、幅広い分野で活躍した稀有な存在と言えるでしょう。

学術への貢献

諏訪氏は1951年東京大学理学部地質学科を卒業後、名古屋大学で「領家変成帯の岩石学的及び地質学的研究」という論文で理学博士号を取得しました。その後、名古屋大学理学部地球科学教室教授、理学部長を務め、教育・研究面で指導的な役割を果たしました。

特に、1962年の名古屋大学アフリカ調査団への参加をきっかけに、アフリカ大陸の地質、特に大地溝帯の研究に深く関わるようになりました。その研究成果は、地球科学の発展に大きく貢献しました。

彼の業績は、数々の受賞歴からも裏付けられています。日本地質学会賞、渡邉萬次郎賞（日本岩石鉱物鉱床学会）を受賞しており、その学問的貢献の高さがわかります。

多彩な才能

諏訪氏の興味は、地球科学のみに留まりませんでした。彼は優れた短歌の才能を持っており、朝日新聞歌壇への投稿が頻繁に掲載され、朝日歌壇賞を受賞するほどの評価を得ています。その才能は歌集『歌集 サバンナをゆく』として結実しています。

さらに、スケッチの腕前にも定評があり、著書にはアフリカの大地のスケッチが掲載されているものもあります。地球[[科学者]]としての厳格な一面とは異なる、繊細で自由な感性が垣間見えるエピソードです。自著の出版物の帯に自身のスケッチを用いるなど、独特のセンスも持ち合わせていました。

著作活動

諏訪氏は数多くの著書を出版し、地球科学の知識を一般の人々にも分かりやすく伝えました。代表的な著書として、『裂ける大地 アフリカ大地溝帯の謎』、『アフリカ大陸から地球がわかる』、『科学を短歌によむ』などがあります。これらの著作は、専門家だけでなく、学生や一般読者にも広く読まれ、地球科学への理解を深める上で重要な役割を果たしました。また、共著として『斜長石光学図表』や『偏光顕微鏡と岩石鉱物』といった専門性の高い書籍も残しています。これらの著書は、彼の幅広い知識と、それを分かりやすく伝える能力の高さを示しています。

逝去

諏訪兼位氏は2020年3月15日、多臓器不全のため91歳で逝去されました。

彼の死は、日本の地球科学界にとって大きな損失ですが、彼の残した研究成果や著作は、これからも多くの人々に影響を与え続けるでしょう。地球[[科学者]]として、教育者として、そして詩人、芸術家としても、類まれな才能を発揮した諏訪兼位氏の功績は、後世に語り継がれるに値するものです。彼の生涯は、科学と文化の調和、そして探究心あふれる人生の好例として、私たちに多くの示唆を与えてくれます。

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