諜報局破壊班員

諜報局破壊班員

『諜報局破壊班員』（ちょうほうきょくはかいはんいん）は、日本の作家・大藪春彦によって1965年に発表されたハードボイルド・スパイ小説です。本作は、もともと1964年に「アサヒ芸能」で「伊達邦彦地球を駆ける - モナコ王国危機一発」という題名で連載され、翌年には徳間書店から単行本が出版されました。この作品は、1989年までの刊本には「伊達邦彦地球を駆ける」という副題が付けられていたことから、その人気のほどが伺えます。現在この作品は電子書籍としても利用可能です。

あらすじ

物語は、電器会社の乗っ取りに失敗し、日本から逃げた伊達邦彦がイギリスの静かな別荘で生活しているところから始まります。しかし、彼の過去の悪事を知った英国の秘密諜報部、通称MI6が彼に接触し、特殊な訓練を受けさせます。伊達はその結果、諜報局破壊班員「YZ-9」という分類番号を与えられるのです。

物語の舞台は、モナコで開催されるカー・レース大会です。大会中、出場車の一台が突然火を噴き、それがメイン・スタンドに転落し、後続の車も巻き込む大惨事を引き起こします。この騒動の最中に、モナコの王子と王女が誘拐されてしまいます。後日、誘拐犯から5億フランを要求する手紙が届き、これが大富豪アントン・アナシスによるものと確信したMI6は、伊達をモナコに派遣することを決定します。伊達は、既知の敵と緊張した駆け引きを繰り広げることになるのです。

登場人物

• - 伊達邦彦: 本作の主人公で、英国諜報部所属の破壊工作員。MI6から「YZ-9」という任務を受ける。
• - ピエール: 宝石店「正直堂」の店長という仮の姿を持つ伊達の協力者であり、物語の重要なサポート役。
• - アントン・アナシス: 船の売買で成功を収めた大富豪で、王子と王女の誘拐の主犯として疑われている人物。

出版履歴

本作は、1964年に「アサヒ芸能」誌に連載され、連載は6月7日から11月29日までの25回にわたりました。挿絵は大塚清六によるものです。その後、1965年には大藪春彦ホット・ノベル・シリーズの一環として刊行され、1981年に徳間文庫、1987年に角川文庫、1989年にトクマ・ノベルスとして出版されました。さらに、1997年には光文社文庫として再版されています。これにより、時代を超えて多くの読者に親しまれています。

『諜報局破壊班員』は、スパイ小説の醍醐味を存分に味わえる作品であり、ミステリーとサスペンスに満ちた物語展開が特徴的です。

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