諸嶽奕堂

諸嶽奕堂（もろたけ えきどう）について

諸嶽奕堂は、日本の曹洞宗の重要な僧侶であり、その生涯は多様な修行と教えを通じて、禅の伝統を深めることに捧げられました。彼は、文化2年（1805年）に尾張国、現在の愛知県名古屋市で生まれ、豊明市にある聖應寺で1813年に出家しました。

出家後、奕堂は霊若寺、黄龍寺、龍泰寺などで厳しい修行を行い、その後、三河国の香積寺にて風外本高の指導の下で悟りを開きました。この経験が彼の禅僧としての基盤を形成し、以後の人生において彼の教えや指導に大きな影響を与えることとなります。

1847年には京山科大宅寺の住職に就任し、それ以降、上野国の龍海院や天徳院など多くの寺院での住職を歴任しました。彼の指導力は、永平寺と總持寺の間で起きた内紛を解決する際に特に顕著でした。この功績により、1870年には總持寺の独住1世に就任し、その後、曹洞宗管長の地位にもつきました。

奕堂の僧侶としての活動は、彼自身の修行だけでなく、弟子たちをして教えを広めることにも力を注いでいました。彼の弟子には森田悟由と滝谷琢宗が名を連ねています。彼らは奕堂の教えを受け継ぎ、後の世代へと禅の理念を伝えていきました。

また、彼は多くの著書を残しています。代表的な著作には『懶眠余稿』（1891年）、『総持奕堂禅師遺稿』（1896年）、そして『旃崖奕堂禅師語録』（1987年）があります。これらの著書は、禅の教えや実践について深い洞察を提供し、今もなお読まれています。

1879年、奕堂は東北を巡錫中、この地でコレラウイルスに感染し世を去りました。彼が亡くなったのは8月23日で、75歳という年齢でした。彼の遺体は山形県善宝寺にて荼毘に付され、霊骨は總持寺に送られ、余灰は善宝寺の歴住墓地に埋葬され、無縫塔が建立されました。

奕堂の教えと修行、また、彼を師と仰ぐ弟子たちの活動は、曹洞宗の発展に大いに貢献しました。彼の名前は、今もなお禅僧たちの間で尊敬され、彼の教えが多くの人々に影響を与え続けています。

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