諸社禰宜神主法度

諸社禰宜神主法度について

概要

諸社禰宜神主法度は、1665年に発布された法令で、主に江戸幕府による宗教統制の一環として全国の神社や神職を管理するものでした。この法令は5つの条項から成り、幕府が神職に求める基本的な方針を示しています。その内容には、神職の研鑽や神事の実施、社殿の修繕、境内の清掃についての規定が含まれています。また、神社の社領の売買を禁止し、違反者に対する罰則も明記されています。

重要な規定

この法令は特に、無位の神職に関する装束の取り決めが重要です。位階を持たない神職は、白張（白い衣装）を着用することが義務付けられ、狩衣や衣冠などの他の装束を着る場合には、必ず吉田家からの神道裁許状を取得する必要がありました。そのため、全国の神職は京に集まり、吉田家の神道講習を受けて許状を得ることに全力を注ぎました。

吉田家の支配

その結果、江戸時代には吉田家が全国の神社の神職をほぼ完全に管理するようになりました。一方、従来の方法で朝廷から位階を得ていた神社の神職は、これまでと同じ通りに昇進することが認められ、吉田家の管理下には入らなかった点も注目です。これにより、幕府の神社政策は、旧来の伝統を認めつつ神社を統制する体制を築くものとなりました。

現代語訳

諸社禰宜神主法度の内容は、以下のように示されています。

1. 神職の研鑽: 神主たちは、神祇道や祭神についてしっかりと学び、伝来の神事や祭礼を実践しなければなりません。これを怠った者には神職資格の剥奪が課せられます。
2. 位階の昇進: 神社の伝奏を通じて位階を昇進してきた神職は、今後もそれを続けなさい。
3. 服装の規定: 位階を持たない神職は白張を着用し、他の装束は吉田家の許可を受けなければ着用できません。
4. 社領の管理: 神社の所有する土地は売買禁止で、質物に入れることも禁じられています。
5. 神社の維持管理: 神社の建物が損傷した際は迅速に修理し、境内の清掃を怠らないことが求められています。

以上の条項に違反した場合、相応の罰が科されることが規定されています。全体として、諸社禰宜神主法度は、神職の職務や装束、社領の管理についてしっかりとしたルールを設け、神社を通じての宗教的な統制を図るものでした。幕府は伝統を尊重しつつも、国家の宗教政策を強化し、神職に対する監視の目を養うことで、一層の安定を目指したと言えます。

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