諸賞流

諸賞流（しょしょうりゅう）

概要

諸賞流は、盛岡藩で発展した伝統的な柔術流派です。正式名称は「観世的真諸賞要眼狐伝流」と称され、和（柔術）および縄術の要素から構成されています。技術の焦点は主に足当や肘当、目潰しにあり、現在も岩手県盛岡市で受け継がれています。1979年には盛岡市無形文化財として認定されました。

歴史

諸賞流の伝説によると、この流派の起源は藤原鎌足に遡ります。当初は「狐伝流」と呼ばれていましたが、坂上田村麻呂が150年後に観世流へと改名し、その後、源頼朝の相撲大会で流派が称賛されたことから「諸賞流」と名乗るようになったとされています。この流派の初代は観世流の27代である毛利宇平太国友とされ、彼の系譜が流派の発展に貢献してきました。

盛岡藩での伝承は、諸賞流21代岡武兵衛庸重の代に始まりました。医業の家に生まれた岡武兵衛は、多くの武芸を学ぶために各地を巡り、鎌倉にいた石田辰之進から諸賞流を学びました。彼は帰藩後、盛岡藩主に仕官し、流派の伝承を進めました。この際、岡武兵衛庸重の高弟、熊谷治右衛門、中館判之亟、永田進が後の流派の伝承に重要な役割を果たしました。

伝承と修行

諸賞流は、代々の高弟や宗家によって受け継がれてきました。流派の修行は、段階的に進行し、小具足、立合の両方の技術を習得する必要があります。「表」、「𢶷」、「裏」といった三つの段階から成る技は、稽古の進行に伴い変化を遂げ、最終的には五重取と呼ばれる複雑な技術へと進化します。これにより、初学者は約六年間の修行を経て、ようやく黒帯を締めることが許されます。また、中位申渡や免許申渡といった重要な段階の中で、異流派との交流も奨励されています。

技術の内容

諸賞流では、肘当や足当、目潰しが重視されており、これらは相手を制御するための重要な技として位置付けられています。特に、肘当は強力な攻撃手段とされ、足当は相手に圧をかけつつも柔軟に対応する技術です。

技の修行においては、様々な技法が用いられ、護身術や試合ではそれぞれの技が効果的に適用されます。特に「小具足第一部」、「小具足第二部」、「立合第一部」、「立合第二部」という構成に従い、具体的な技術を段階的に学ぶことが強調されています。

逸話と名人

諸賞流の名人、松橋宗年は、数多くの流派から技を学び、「南部藩の龍虎」と称されるほどの実力者でした。特に、一升樽を使った独自の稽古法で名を馳せ、1879年から数年間、全国を巡って流派の名を広めました。彼の試合では、特異な技術が注目を浴び、後に「御留め武術」として流派の特異性を示す契機となりました。

結論

諸賞流は、技術だけでなくその歴史や文化的背景を反映した、非常に深い流派です。現在も新たな弟子たちがこの流派を継承し続け、伝統を守りながら新たな価値を創造しています。

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