講談社の動く図鑑 MOVE

講談社の動く図鑑MOVE：進化する学習図鑑の世界

講談社が発行する学習図鑑レーベル『動く図鑑MOVE』は、2011年の創刊以来、子どもたちの学習に大きな影響を与え続けています。AB判の図鑑には、主題に関連した高画質の映像を収録したDVDが必ず付属。NHKエンタープライズが制作を担当しており、NHK番組の厳選された映像と、MOVEのために新規撮影された映像の両方が含まれています。

MOVEの成功は、その編集方針に表れています。網羅性を重視するのではなく、ライオンであれば2ページを割くなど、各巻でテーマを絞り込み、深く掘り下げた内容となっています。そのため、取り上げる種は競合他社の図鑑より少ない場合もありますが、その分、各テーマへの理解を深めることができます。ビジュアル重視のレイアウトは、担当編集者である森定泉氏の幼少期の体験に基づいており、科学雑誌『ニュートン』創刊号への衝撃がデザインに反映されています。

MOVEは、公式サイトやTwitterを通じて、新刊情報や既刊の紹介だけでなく、科学分野の最新ニュースや動物園・水族館からの話題も発信。常に最新の情報を提供することで、読者との繋がりを強化しています。

関連レーベルの展開：多様な学習ニーズへの対応

MOVEは、メインレーベル以外にも、いくつかの関連レーベルを展開し、学習内容の幅を広げています。

WONDER MOVE（ワンダームーブ）: 「〜のふしぎ」をテーマに、動物の生態や人体、自然現象など、体系的な網羅が難しいテーマを扱うサブレーベルです。
MOVE COMICS（ムーブコミックス）: 学習漫画レーベルで、図鑑と同様にNHKエンタープライズ制作のDVDが付属します。
MOVE あそべるずかん: イラストや写真がプリントされたシールが付属するシールブック。
EX MOVE（イーエックスムーブ）: 極限の世界を探求し、専門知識を伝えることを目指すレーベルです。
* MOVE mini（ムーブミニ）: ポケットサイズの図鑑で、DVDは付属しませんが、専用アプリでスマートフォンやタブレットで閲覧できます。

これらの関連レーベルによって、MOVEは年齢や興味関心に合わせた多様な学習ニーズに対応できるようになっています。

コラボレーション：学習の楽しさを広げる取り組み

MOVEは、ヨシリツの組み立てブロック「LaQ」とのコラボレーションも実施。LaQ×MOVE作品コンテストを開催し、創造性を育む活動にも貢献しています。

講談社の図鑑史におけるMOVEの位置付け：復活と進化

講談社は、以前から学習図鑑を発行していましたが、小学館の学習図鑑に遅れを取り、1960年代半ばには撤退を余儀なくされました。その後、何度か学習図鑑市場への再参入を試みましたが、大きな成功は収められませんでした。

MOVEは、そんな講談社の学習図鑑における、新たな挑戦の象徴です。森定泉氏による独力での編集作業を経て、2011年に創刊されたMOVEは、「動く学習図鑑」というコンセプトを掲げ、DVDの付録が大きな成功要因となりました。創刊2年でシリーズ累計100万部を突破、市場シェア第1位を獲得するなど、大きな成果を収めました。

DVDの付録は、従来の小学生を中心とした読者層に加え、未就学児層への市場拡大にも貢献しました。また、毎年7月には、既刊のフォローアップや夏休みの課題支援を目的とした「特別号」も刊行されています。

各巻と今後の展開

MOVEシリーズは、多様なテーマの図鑑を刊行しています。それぞれの図鑑には、高精細な写真やイラスト、そしてDVDによる動画が収録され、子どもたちの学習意欲を高める工夫が凝らされています。MOVE miniのような新しい試みも展開されており、今後も進化を続けることが期待されます。

MOVEは、単なる学習図鑑にとどまらず、子どもたちの知的好奇心を刺激し、学びの楽しさを広げる存在となっています。その魅力は、今後も多くの子供たちを魅了し続けることでしょう。

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