講談社X文庫

講談社X文庫は、1984年に講談社より創刊された文庫レーベルです。創刊当初は、アニメや漫画、映画などのノベライズ作品、ゲームブック、そしてタレント本など幅広いジャンルの書籍を刊行していました。この初期のレーベルを、ここでは便宜上「旧X文庫」と呼びます。

旧X文庫では、『メガゾーン23』や『幻夢戦記レダ』といった人気アニメのノベライズ作品も数多く手がけました。当時としては珍しいゲームブックなどもラインナップに含まれており、多様な読者のニーズに応えるレーベルとして人気を集めていました。

1987年、講談社X文庫は大きな転換期を迎えました。少女小説に特化したサブレーベル「ティーンズハート」が創設されたのです。ティーンズハートの創刊によって、講談社X文庫は、それまでの多様なジャンルから、少女小説という明確なターゲット層を持つレーベルへと方向転換を図り始めました。

興味深いのは、ティーンズハートの整理番号が旧X文庫と同一であった点です。第一冊目は、高岡みちしげ氏による『ときめいてチャンピオン』でした。この際に、背表紙のデザインをはじめとするレーベルのビジュアルイメージが刷新されたと考えられます。新デザインは、旧X文庫の新刊や重版にも適用され、結果として旧X文庫は次第に姿を消し、絶版となりました。

ティーンズハートはその後も多くの少女小説を刊行し続けましたが、講談社X文庫では、さらに別のレーベルも誕生しました。「ホワイトハート」です。ティーンズハートとホワイトハートは、しばらくの間、並行して刊行が続けられていましたが、現在ではホワイトハートのみが継続して書籍を刊行しています。

昭和の終わり頃には、講談社X文庫から「フレンド」というレーベル、そして「BETSUFURE」というレーベルも登場しました。これらのレーベルは、漫画作品や漫画家とのコラボレーションを重視したものでした。特にBETSUFUREでは、花井愛子氏などの小説作品も刊行されています。しかし、これらのレーベルは、刊行点数の少なさから、必ずしもレーベルとして確立したとは言い難い状況でした。

このように、講談社X文庫は、創刊以来、そのラインナップやターゲット層を変化させながら、時代に合わせて進化を続けてきました。初期の多様なジャンルから、少女小説、そして漫画作品へと、その歴史は、常に変化と挑戦の歴史であったと言えるでしょう。現在も続くホワイトハートレーベルが、その伝統を受け継ぎ、これからも多くの読者を楽しませ続けることを期待したいところです。

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