谷内六郎

谷内六郎（たにうち ろくろう）は、1921年12月2日に東京で生まれ、1981年1月23日に59歳で亡くなった日本の画家です。彼は、郷愁を誘う昭和の風景を描いたことで知られ、『週刊新潮』の表紙を創刊号から亡くなるまで担当しました。その表紙絵の総数は1336点に及びます。

谷内は、9人兄弟の6男として恵比寿で生まれました。父親は富山県出身です。小学校卒業後は、見習い工員として働きながら、独学で絵を学びました。戦後には、漫画仲間の鈴木善太郎、片寄貢らと銀座の街頭で政治風刺漫画を描きました。また、1945年12月に創刊された左翼系の新聞「民報」では、4コマ漫画『真実一郎君』を連載しました。

1955年、谷内は『文藝春秋』臨時増刊「漫画讀本」に発表した「行ってしまった子」（「おとなの絵本」より）で、第1回文藝春秋漫画賞を受賞しました。この受賞をきっかけに、彼の才能は広く認められるようになりました。翌1956年からは、『週刊新潮』の表紙を担当し、その独特な画風は多くの読者に愛されました。

1958年には、人形作家の熊谷達子と結婚しました。1962年には、作詞を担当した『遠い日の歌』が第17回芸術祭奨励賞を受賞し、画家としての活動以外にも才能を発揮しました。1975年には、神奈川県横須賀市にアトリエを構え、創作活動に励みました。

谷内の作品は、ノスタルジックな昭和の風景を描いたものが多く、子供たちの日常や、過ぎ去った風景を懐かしむような作風が特徴です。彼の描く世界は、どこか懐かしく、温かい雰囲気を漂わせています。

谷内六郎の絵本作品には、『海と風船』や『四季・谷内六郎』などがあります。また、共著として『海の子山の子』も発表しています。彼の作品は、横須賀美術館に併設された谷内六郎館で見ることができます。この美術館では、彼の作品を常設展示しており、多くのファンが訪れます。

谷内六郎の死後も、彼の作品は多くの人々に愛され続けています。その独特な画風は、昭和の時代を象徴するものとして、今もなお人々の心に深く残っています。後年、『週刊新潮』の表紙絵は、成瀬政博が引き継ぎました。

谷内六郎は、画家としてだけでなく、漫画家、絵本作家、作詞家としても才能を発揮した多才な人物でした。彼の作品は、今もなお多くの人々を魅了し続けています。

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