谷村裕

谷村裕（たにむら ひろし）

概要

谷村裕は、1916年（大正5年）3月26日に生まれ、1996年（平成8年）10月22日に亡くなった日本の大蔵官僚です。大蔵省でのキャリアを通じて、大蔵事務次官、公正取引委員会委員長、東京証券取引所理事長といった要職を歴任しました。その卓越した能力と幅広い知識を活かし、戦後の日本経済の発展に大きく貢献しました。

生い立ちと学歴

谷村裕は東京で生まれ、旧制暁星中学校を卒業後、第一高等学校を経て東京帝国大学法学部政治学科を卒業しました。大学卒業時には、採用試験20科目すべてで優の評価を得て、トップの成績で大蔵省に入省したという逸話が残っています。このことからも、彼の非凡な才能が伺えます。

軍歴

1938年（昭和13年）には、短期現役海軍主計科士官（1期）を志願し、海軍経理学校に入学。卒業後、海軍主計中尉に任官し、名取に配属されました。その後、第五艦隊司令部付妙高乗艦、呉海軍工廠会計部購買課勤務を経験しました。1940年（昭和15年）には主計大尉に昇進しましたが、1941年（昭和16年）に予備役編入となりました。

大蔵省でのキャリア

予備役編入後、谷村裕は大蔵省に復帰しました。大臣官房調査部次長、大臣官房調査課長、銀行局銀行課長、銀行局総務課長、大臣官房文書課長、大臣官房財務調査官（証券局担当）、主計局次長、大臣官房長、主計局長などを歴任し、1967年（昭和42年）には事務次官に就任しました。これらの役職を通じて、日本の財政政策の中枢を担い、その政策決定に大きな影響を与えました。

退官後の活動

大蔵事務次官退官後、1969年（昭和44年）には公正取引委員会委員長に就任し、1974年（昭和49年）には東京証券取引所理事長を務めました。特に東京証券取引所理事長としては、証券取引の近代化に尽力し、その発展に貢献しました。

親族

谷村裕の親族には、以下のような人物がいます。

父：谷村金一（盛岡高等農林学校卒業、大日本人造肥料社員）
妻：恭子（警視総監、台湾総督府総務長官等を歴任した斎藤樹の長女）
祖父：小川平吉（司法大臣、鉄道大臣）
弟：斎藤正彦（数学者・東大名誉教授）
弟：斎藤邦彦（外務事務次官、駐米国大使）
従兄：宮澤喜一（第78代内閣総理大臣）
二男：谷村啓（NHKアメリカ総局長）


このように、谷村家は政界、官界、学界に多くの人材を輩出している名門一家です。

まとめ

谷村裕は、大蔵官僚としての卓越した能力と幅広い知識、そして強靭なリーダーシップで、戦後の日本経済の発展に大きく貢献した人物です。その功績は、現代の日本社会においても高く評価されています。

参考文献

『海軍主計科士官物語〈短現総覧〉』浴恩出版会、1968年。

外部リンク

* 谷村裕 とは - コトバンク

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