主計局

財務省主計局：予算編成の中枢

財務省主計局は、国の予算編成、決算の作成、会計制度の企画立案を主な業務とする、財務省の内部部局です。予算編成を司ることから、各省庁に対して非常に強い影響力を持つとされています。

概要

主計局は、各省庁の予算要求を査定し、国の予算を決定する上で中心的な役割を果たします。その影響力は非常に大きく、主計局の職員は、他省庁の同階級者よりも上の立場で交渉することが認められています。例えば、主査（課長補佐クラス）は他省庁の課長と、主計官（課長クラス）は他省庁の部長・審議官と、次長は他省庁の局長と、局長は他省庁の事務次官と交渉するのが通例です。また、財務省主計局長のみが指定職6号俸であり、他の省庁の官房長・局長・政策統括官よりも高い地位にあります。

歴史

主計局は、1886年（明治19年）に調査局を改称して創設されました。当初は、国の予算編成、施行状況の監査、決算、会計制度の立案などを業務としていました。各省庁が主計局に対して歳出概算書を提出して予算を要求し、主計局は歳入概算書と合わせて各省庁の要求を査定するというのが、通常の予算編成方式でした（主計局中心主義）。しかし、1933年（昭和8年）の満洲事変以降、軍事費が優先的に査定されるようになり、他の省庁の行政費は大幅に削減されました。また、1937年（昭和12年）に企画院が設置されると、予算編成機関である主計局との間で権限争いが起こりました。さらに、戦時財政遂行の過程で、1941年（昭和16年）度から重要政策に関する予算措置は、閣議で決定されるようになりました。1942年（昭和17年）には、予算課が廃止され、予算調整は主計局長のもとで行われるようになりました。

組織

主計局は、以下の組織で構成されています。

主計局長: 主計局の長。
主計局次長（3）: 各課及び各主計官を分担して持ち、担当予算について決定権を持ちます。建設や公共事業総括担当は筆頭の次長が担当する慣例があります。
総務課: 局内の官房業務や財政に関する政策一般、予算の取りまとめを行います。予算総括係、企画係を配下に持ちます。
企画係: 将来の財政経済を考えるための部署で、予算全体のフレームを作成します。
歳入・国債係: 歳入の見積もりや国債査定を行います。
主計事務管理室: 予算編成に使用するシステムの構築、運営、管理をします。
司計課: 決算の取りまとめ、作成、予算執行の調査を行います。
法規課: 会計法規の企画立案、予算と法律の整合性チェックを行います。
給与共済課: 国家公務員給与の制度設計や予算査定、共済制度を所掌します。
調査課: 財政制度、運営の調査など、財政に関する諸般の調査を行います。
主計官（11）: 各府省庁等の予算査定を行います。
主計企画官（3人以内）: 財政分析担当、調整担当、法規課を担当します。次期主計官候補とされます。
* 主計監査官: 予算執行の監査を行います。

予算編成のサイクル

予算編成は、通常、以下の流れで行われます。

1. 7月: 概算要求基準が閣議決定されます。
2. 8月末日: 各省庁が財務省主計局に概算要求を提出します。
3. 9月: 主計局が中心となり、予算編成が始まります。各省庁の担当者から概算要求の説明が行われます。
4. 11月頃: 説明が終わると、主計官と主査が要求額を査定します。
5. 12月上旬: 主計局長が加わり、局議を行い、予算編成大綱が閣議決定されます。
6. 12月20日頃: 財務省原案が内示されます。
7. 12月24日頃: 大臣折衝を経て、正式な予算案が決定します。
8. 翌年1月下旬: 国会に予算案が提出されます。

予算編成期間中は、主計局の職員は非常に多忙となり、徹夜や泊まり込みが続くこともあります。また、審査を担当する主査は課長補佐級であるにもかかわらず、審査を受ける各省庁の担当者は企画官・室長〜課長級であるという、階級を重んじる官庁では異例な慣習があります。

歴代局長

過去の主計局長には、福田赳夫、武藤敏郎などがいます。武藤敏郎以降は、全員が財務事務次官へ昇格しています。

主計局の役割

主計局は、国の財政を左右する重要な役割を担っており、その動向は常に注目されています。予算編成を通じて、国の政策や社会全体に大きな影響を与えています。

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