谷次亨

谷 次亨（こく じきょう）

谷次亨は中華民国時代および満州国において重要な役割を果たした政治家です。本名は嘉年ですが、字の次亨として知られています。彼の人生と業績は、東アジアの政治の複雑な移り変わりの中で特筆すべきものでした。

学歴と初期のキャリア

谷は1923年に日本に留学し、東京高等師範学校の文科第一部乙班を卒業しました。留学を通じて日本語に精通し、帰国後には満鉄の嘱託として働き始めました。その後、奉天省塩運総局長や本渓湖煤鉄公司的秘書などを歴任し、経済界でも名を馳せました。

満州国での活動

満州国が成立した後、谷は国務院人事処の調査科長、文教部嘱託、さらには民政部内の様々な役職を歴任しました。特に、1937年の機構改革では総務庁次長に就任し、重要な指導的役割を果たしました。1940年には大阪で行われた興亜厚生大会に満洲帝国の代表として出席し、国際的な場でもその存在感を示しました。

1941年には民生部大臣に任命され、その後1942年に交通部大臣に異動しました。彼は日本語能力を活かし、関東軍からの信任も厚く、中国における政治動向を関東軍に報告する役割も担っていました。これにより、彼は満州国内部の重要な情報源として位置づけられていました。

戦後の苦難

しかし、満州国が滅亡した後、谷次亨の運命は大きく変わりました。彼はソ連軍によって逮捕され、シベリアに連れ去られて収監されました。その後、1950年に中華人民共和国に引き渡され、撫順戦犯管理所に収監されました。しかし、彼は特赦を受け、長春市の図書館で勤務することになります。

結末と遺産

谷次亨は1977年に長春で82歳で亡くなりました。彼の生涯は政治の激動に翻弄されながらも、教育や経済政策に貢献したことから、その名は今でも記憶されています。彼の業績は、満州国の政治史を理解する上で欠かせない要素であり、また、当時の人々の思想や行動の一端を知るための貴重な資料ともなっています。

参考文献

• - 王鴻賓ほか主編『東北人物大辞典 第2巻』遼寧古籍出版社、1996年。
• - 孫棫蔚「偽満州国大臣省長的大連人」『大連文史資料 第7輯』大連市政協文史資料委員会、1990年。
• - 山室信一『キメラ－満洲国の肖像 増補版』中央公論新社（中公新書）、2004年。
• - 劉寿林ほか編『民国職官年表』中華書局、1995年。
• - 『大連市志 財政志』中央文献出版社、2002年。

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