谷汲駅

谷汲駅の歴史と概要

谷汲駅（たにぐみえき）は、かつて岐阜県揖斐郡谷汲村（現在の揖斐川町）に位置する名古屋鉄道谷汲線の駅でした。この駅は、地域の交通の要所であると同時に、文化や観光の拠点でもありました。

鉄道開通の背景

谷汲村への鉄道利用の要望は、岐阜市から北方へ向かう鉄道の開通が進む1921年頃から発生しました。その結果、1926年に北方駅から当駅までの路線が完成し、谷汲駅が開業しました。この駅は、黒野駅からの路線が入り、谷汲鉄道によって運営されていましたが、1944年には名古屋鉄道に吸収され、谷汲線となりました。

賑わいと寺の存在

駅の近くには、西国三十三所の第33番札所として知られる谷汲山華厳寺があります。この寺で行われる祭礼の際には、多くの参拝客が訪れ、駅が賑わったこともありました。駅舎は長らく木造の平屋建てで使用されていましたが、1996年に新たに築かれた駅舎は、村の支援を受けた昆虫館と併設された近代的なデザインのものになりました。

駅齢70年とその後

谷汲線の開通から70年を迎えた1996年には、記念式典も行われました。しかし、2001年に谷汲線全線が廃止され、駅も同時に廃駅となりました。廃止後も駅舎は昆虫館と共に残り、また構内にはモ750形モ755とモ510形モ514の車両が静態保存されています。特にモ755は、秋に開催される「赤い電車まつり」の際に突如として運行を行い、多くの電車ファンに親しまれています。

駅の構造と保存状況

かつての谷汲駅は、島式ホームを有しており、2つの線路が設けられていましたが、廃駅となる頃は南側の線路のみが使われ、北側の線路は接続が取り消され電車も来なくなっていました。1996年に改築された駅舎は、現在もその姿を保っており、旧待合室は谷汲線に関する資料の展示コーナーとして利用されています。無人駅であった谷汲駅ですが、特別な行事の際には駅員が配置されて賑わいを見せていました。

利用状況と駅周辺

1992年度のデータでは、1日平均乗降人員は391人であり、名古屋鉄道の全体の駅中286位という位置付けでした。駅は谷汲村の中心部にあり、アクセスも良好でした。広々とした駅前広場には、パークアンドライド用の駐車場も設置され、多くの人々が利用しました。

まとめ

谷汲駅は、その歴史と文化を背景に多くの人々に愛された駅でした。しかし時代の変化によって役目を終え、廃駅となった今でも、その地域の人々にとっては懐かしい存在として記憶され続けています。保存された鉄道車両や駅舎は、未来の訪問者に向けて地域の歴史を語りかけています。

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