豆戦車

豆戦車：軽戦車よりさらに小型の戦闘車両

豆戦車とは、軽戦車よりも小型で軽量、装備も簡素化された戦車です。タンケッテや豆タンクと呼ばれることもあります。その特徴は、主に小型で軽量な車体に、機関銃などの軽武装しか搭載しない点にあります。本稿では、豆戦車の概要、歴史、そして各国における開発事例について解説します。

豆戦車の分類と概要

豆戦車は大きく分けて2種類に分類されます。一つは、物資や人員の運搬、牽引を主目的とした「運搬車型」で、戦闘室に天板がなく、武装は車体前面に限定旋回式に装備されたものです。もう一つは、戦闘や偵察を主目的とした「戦車型」で、戦闘室に天板や装甲フードがあり、武装も車体前面の限定旋回式に加え、旋回砲塔を持つものもあります。

豆[戦車]]の起源は、イギリスのカーデン・ロイド豆[[戦車]に遡るとされています。重量は一般的に3トン前後、6トン未満とされ、6トンを超えるものは軽戦車に分類されることが多いです。軽戦車が旋回砲塔や大口径砲を搭載し、それらを保護する装甲を備えているのに対し、豆戦車は機関銃程度の軽武装で、装甲も小銃弾を防御できる程度のものしかありません。

しかし、豆戦車と軽戦車の境界は曖昧です。重量が6トンに近い豆戦車や、装備が貧弱な軽戦車なども存在します。また、「豆戦車」という分類は、開発国や採用国が用いているものではなく、後から付けられた分類である点も特徴的です。

豆戦車の運用と特徴

豆戦車は通常、1名ないし2名で運用され、ほとんどが砲塔を持たず、機関銃を1～2挺備えた軽武装です。装甲も薄く、小銃弾程度しか防げません。そのため、対[[戦車ライフル]]や強力な機関銃・機関砲などの攻撃には非常に脆弱です。移動機関銃陣地と表現されることもあり、対人戦闘や軽装甲車両への攻撃が主な任務でした。

ただし、一部の豆戦車には20mm機関砲や対[[戦車ライフル]]、対[[戦車砲]]などが搭載された例もあります。また、エンジンや駆動系には民間の自動車部品を流用した車両も多く、カーデン・ロイド豆[[戦車]]は自動車用のエンジンやトランスミッション、ブレーキを流用したことで知られています。旋回は、一方のブレーキをかけることで実現する簡素な仕組みでした。

豆戦車の歴史と役割

豆戦車は、1920年代後半から1930年代後半にかけて、軍縮時代という背景のもと、多く生産されました。大型戦車に比べて安価だったため、予算の限られた国々が後進国との戦争や植民地の治安維持のために導入しました。対戦車能力を持たない相手に対しては、それなりの成果を挙げたとされています。例えば、イタリア軍のC.V.33系列の豆戦車はエチオピア戦で活躍し、日本軍の九二式重[[装甲車]]や九七式軽[[装甲車]]も中国戦線で一定の成果を収めました。また、植民地や占領地の治安維持にも用いられ、一定の評価を得ました。

軽量で低出力エンジンでも高速で燃費が良い点も利点でした。インフラが整備されていない地域では、移動や輸送が容易なため重宝されました。さらに、製造が比較的容易なため、戦車の国産化を目指す国にとって、製造技術習得の第一歩として適していました。戦闘以外では、偵察、連絡、火砲や物資の牽引などにも使用されました。

戦後の豆戦車

第二次世界大戦で能力不足が明らかになったため、戦後、大規模に配備している国はありません。しかし、「軽戦車より軽量で軽武装、低コストな戦闘車両」という概念は、現代の装輪装甲車に受け継がれています。アメリカやロシアなどでは、装輪・装軌式の無人ロボット兵器の開発が進められており、その中には豆戦車並みの重量や装備のものが含まれます。

各国の豆戦車

数多くの国が豆戦車を開発・運用しました。イギリスのカーデン・ロイド豆[[戦車]]、フランスのルノーUE、ドイツのI号戦車、イタリアのCV33シリーズ、日本の九四式軽[[装甲車]]、ソ連のT-27など、様々なタイプが開発され、世界各地の戦場で使用されました。これらの豆戦車は、それぞれの国の事情や技術水準を反映した独自の設計となっています。

結論

豆戦車は、その小型軽量性と低コスト性から、特定の条件下では有効な兵器でした。しかし、その脆弱な装甲と軽武装は、近代戦では大きな欠点となりました。豆戦車の歴史は、戦車の発展史において、重要な一章を成しています。その後の装輪装甲車や無人ロボット兵器の開発に繋がった、重要な技術的・戦略的意義を持っていました。

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