九七式軽装甲車

九七式軽装甲車 テケについて

九七式軽装甲車、通称テケは、1930年代中頃に大日本帝国陸軍のために開発された装甲車です。この車両は、日中戦争の期間中まで手軽に扱える豆戦車として機能し、陸軍の機械化に寄与しました。

開発の背景と試作

九七式は、先代の九四式軽装甲車が抱えていた多くの欠点を改善した後継タイプとして開発されました。試作は池貝自動車（現在の小松製作所川崎工場）が担当しました。日本陸軍は戦車の製造を三菱と日立に限定していたため、他の企業に装甲車の製造を委託しました。

二つの試作車が製造され、第一案は操縦席右側にフロントエンジンを搭載する型、第二案はリアエンジン搭載型でした。フロントエンジンの試作は、エンジンの高さの制約や車内の熱問題からリアエンジン型になりました。

主要な改良点

九七式では、操縦手の位置を車体前方左側に移すことで、車長とのコミュニケーションを向上させました。また、武装は九四式より強化され、主に37mm戦車砲を搭載し、連絡用の役割に留まらず、戦闘力も向上しました。砲塔は手動で旋回する形式で、主砲の照準機能も充実しています。

エンジンは、ガソリンからディーゼルに変更され、より安全で燃費効率の良い設計に改善されました。エンジンは車両後部に配置され、機関室と戦闘室が区切られたため、乗員の安全性と快適性も向上しました。履帯にも新しいセンターガイド方式が採用され、外れにくくなりました。

実戦での活躍

九七式軽装甲車は主に師団の捜索連隊に配備され、特に偵察任務で多くの実績を上げました。1939年のノモンハン事件を皮切りに、太平洋戦争でも南方作戦でその実力を発揮しました。

例えば、1941年のマレー作戦では、捜索連隊の一部として上陸し、迅速に国境を突破して英軍の防御を破りました。また、フィリピン攻略戦でも効果的に敵を撃退するなど、機動的な戦闘を展開しました。

限界とその後

テケは多くの戦闘で活躍しましたが、豆戦車としての特性から制約もありました。戦況が厳しさを増すと、その機動力が発揮できなくなり、捜索連隊自体も縮小されました。それでも、彼らは防衛戦に貴重な戦力として参加しました。

戦後、国内に残った九七式の多くは解体されましたが、一部はブルドーザーとして再利用されました。また、中国大陸では内戦で両勢力に利用されました。

バリエーション

テケを元に開発されたバリエーションには、弾薬運搬車や観測車両、指揮車などがあります。これにより、九七式の多様な用途がアピールされました。

現在の状況

いくつかの博物館に現存する九七式軽装甲車が展示されており、戦歴や技術的な進歩を理解するための貴重な教材となっています。特にロシアやオーストラリアの博物館に収蔵されている砲搭載型を通じて、その影響力を感じることができます。

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