豆腐姉妹

豆腐姉妹

『豆腐姉妹』は、2010年にWOWOWの深夜ドラマ枠「ミッドナイト☆ドラマ」にて全5回にわたり放送されたテレビドラマ作品です。テレビドラマでありながら、アニメーションやフェイクドキュメンタリーといった異なる表現手法を大胆に融合させた、当時としては非常に新感覚な企画として注目を集めました。

企画と制作背景

本作の企画は、監督を務めた筧昌也氏へ2008年頃に持ちかけられたのが始まりです。当初はDVD向けに制作されるオリジナルドラマとして構想されていたといいます。様々な映像形式を組み合わせるという実験的な試みは、企画段階から本作の核となっていました。

物語と表現手法

物語の舞台となるのは、まるで豆腐のように真っ白な外観を持つ一棟のマンション。この不思議な空間で共同生活を送る三姉妹、長女の絹代、次女のもめん、そして三女の由里子それぞれの人生観が描かれます。本作の最大の特徴は、この三姉妹をすべて主演の吉高由里子が一人の俳優として演じ分けている点です。

さらに、それぞれの姉妹のエピソードが全く異なる表現手法で描かれるという画期的なスタイルが採用されました。

長女・絹代（図書館司書）: 不倫関係に苦悩する図書館司書である長女・絹代のエピソードは、従来のテレビドラマ形式でリアルに描かれます。
次女・もめん（キャバ嬢）: キャバクラで働く次女・もめんの奔放な日々は、ポップでカラフルなアニメーションとして表現されます。
三女・由里子（女優）: そして、女優として活躍する三女・由里子のエピソードは、まるで現実の吉高由里子の日常や仕事ぶりを追ったかのような、フェイクドキュメンタリー形式で展開されます。劇中で由里子が主演するという設定の映画『白い十人の女』は架空の作品であり、これは黒澤明監督の『黒い十人の女』を元ネタにした遊び心のある設定です。

吉高由里子の一人三役という演技に加え、ドラマ、アニメ、フェイクドキュメンタリーという異なる視点や切り口で同じ俳優が演じる三人のキャラクターを描き出すという試みは、見る者に新鮮な驚きと深い印象を与えました。

キャスト

長女・吉高絹代、次女・吉高もめん（声）、三女・吉高由里子（本人役）：吉高由里子
田中一郎：塚地武雅
ムロツヨシ
設楽あさみ：平田薫
石田一雄：田中要次
ナス子（声）：宮崎美穂
本多力（声）：本多力
オープニングナレーター（特別出演）：小林幸子

スタッフ

監督：筧昌也
脚本：鈴木智尋、筧昌也
アニメーション監督：青木純
音楽：野崎美波
主題歌：MAGIC PARTY「わがままJOYガール」（シングル『今夜はMAGIC BOX』収録）

DVD情報

本作は、2011年1月28日にDVDとして発売されました。発売元はWOWOWおよびアミューズソフトエンタテインメントです。

複数の映像表現を駆使し、主演俳優が一人で全く異なる三つの役柄と形式を演じ分けるというユニークな手法が、本作を単なるドラマに留まらない、実験的な映像作品として成立させています。三姉妹それぞれの人生が織りなす物語と、それを彩る多様な表現スタイルが、『豆腐姉妹』の大きな魅力と言えるでしょう。

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