豊前善光寺

豊前善光寺について

豊前善光寺は、大分県宇佐市にある浄土宗の寺院です。山号を梵天山、院号を法性院といい、地元では芝原善光寺とも呼ばれています。長野市の善光寺をはじめ、各地にある善光寺と区別するために、旧国名である「豊前」を冠して呼ばれることが一般的です。

歴史

豊前善光寺は、天徳2年（958年）に空也上人によって創建されたと伝えられています。善光寺に参籠した空也上人は、「鎮西の衆生は我に因縁深厚なり、汝疾く護持して行く可し」という仏勅を受け、善光寺如来を奉じて九州に下りました。宇佐八幡に参詣した際、「乾の方一里余にして金剛不壊の霊地あり」との言葉を受け、一面の芝原であったこの地に寺を建立したのが始まりとされています。

開基以来、寺は盛衰を経験しましたが、江戸時代には黒田氏、細川氏、小笠原氏といった歴代の領主からの手厚い保護を受け、現在に至るまで念仏道場として信仰を集めています。当初は時宗でしたが、後に浄土宗に改められました。千有余年の間、法灯が連綿と受け継がれてきた古刹です。

伽藍

本堂

本堂は、開基である空也上人が創建し、後に建長2年（1250年）に大修理が行われ、文禄、元禄時代にも改修が加えられたと伝えられています。建築様式などから、鎌倉時代または室町時代初期に建てられたと考えられています。桁行7間、梁間5間の単層寄棟造妻入りで、本瓦葺きの屋根を持ち、唐破風の向拝（元禄期の増築）が特徴です。軒は二軒角繁垂木、組物は出三斗、木鼻の形には禅宗様式が用いられています。内部は内陣と外陣に分かれており、内陣天井は折上格天井、外陣天井は大虹梁上に二重枠肘木を置き、化粧棟木と化粧垂木を支える構造です。機能美を追求した、力強い化粧屋根裏が特徴です。明治40年（1907年）に国の特別保護建造物（当時）に指定され、昭和25年（1950年）に文化財保護法の施行に伴い、重要文化財となりました。

南門

南門は、貞享3年（1686年）に建立され、その後宝永2年（1705年）に修理された際に、「梵天山」の山額が掲げられました。この山額は、宮本武蔵の達磨図に賛を寄せたことでも知られる、小倉藩小笠原氏の菩提寺である広寿山福聚寺の二世、広寿法雲によって揮毫されました。平成17年（2005年）には解体修理が行われています。

鐘楼

鐘楼は、寛保2年（1742年）に建立され、平成15年（2003年）に解体修理が行われました。梵鐘は、大治5年（1130年）、寛文2年（1661年）、宝暦2年（1752年）にそれぞれ鋳造されましたが、三代目の鐘は戦時中に供出されたため、昭和32年（1957年）に再鋳されました。鐘楼には四方に二十四孝の彫刻が施されています。

文化財

重要文化財（国指定）

本堂：室町時代中期（1393年-1466年）の建立。桁行七間、梁間五間、一重、寄棟造、妻入、向拝一間、唐破風付、本瓦葺。明治40年（1907年）5月27日指定。

大分県指定有形文化財

善光寺板碑
芝原善光寺鬼瓦
善光寺銅造阿弥陀如来立像

宇佐市指定有形文化財

善光寺文書

所在地と交通

所在地：大分県宇佐市大字下時枝237

交通：

鉄道：JR九州日豊本線豊前善光寺駅から車で約5分、徒歩約20分
バス：豊前善光寺駅より四日市行きのバス（大交北部バス）があるが、平日の運行のみで本数も少ない。最寄りのバス停は「国宝善光寺」。
自動車：宇佐道路四日市ICから約15分

参考文献

大分県『大分県史 美術編』大分県、1981年

外部リンク

豊前善光寺 - 公式サイト
善光寺本堂 - 文化遺産オンライン（文化庁）
善光寺本堂 - 国指定文化財等データベース（文化庁）
豊前芝原善光寺 日本一の「おんせん県」大分県の観光情報公式サイト（ツーリズムおおいた）
芝原善光寺 宇佐市観光協会

もう一度検索