豊島 (香川県)

豊島 (てしま) の概要

豊島は、瀬戸内海の東部に位置し、小豆島の西約3.7kmにある島です。これまでの国勢調査によると、豊島の人口は緩やかに減少し続けており、特に2015年時点では867人となっています。この島は直島諸島に属しており、香川県小豆郡土庄町に行政区分されています。島内には、豊島家浦、豊島唐櫃、豊島甲生の3つの大字があります。

地理と自然

豊島は、標高340mの壇山を有し、豊富な湧水が特徴です。この水源のおかげで、稲作が盛んであり、棚田が広がっています。また、周辺海域には豊かな漁場が広がっており、ママカリなどの漁業も行われてきました。古くは「ミルクの島」として知られ、乳牛が飼育されていましたが、現在では特別養護老人ホームや知的障害者更生施設が設立され、「福祉の島」の側面も持つようになりました。ただし、不法投棄問題に直面することで「ゴミの島」とも呼ばれる時期がありましたが、最近では「アートの島」としての認識が高まっています。

産業・経済

かつては第一次産業が主な収入源でしたが、現在は高齢化や過疎化が進み、農業や漁業は衰退しています。2010年の国勢調査では、第一次産業従事者が19.8%、第二次産業従事者が19.5%、第三次産業従事者が60.3%と、サービス業が主流を占めています。近年では、イチゴや棚田米などの生産が盛り上がりを見せています。また、「豊島石」と呼ばれる石材も採取され、文化資源としての価値が認識されています。

教育・福祉

豊島には土庄町立の小学校と中学校があり、地域の教育が行われています。特に福祉面では、特別養護老人ホーム「ナオミ荘」や知的障害者更生施設「みくに園」が運営され、地域の福祉を支えています。過去には「神愛館」という乳児院も存在していましたが、2015年に移転されており、跡地は現在ゲストハウスとして利用されています。

豊島事件とその影響

1975年からの産業廃棄物不法投棄事件、いわゆる「豊島事件」はこの島の歴史に深い傷を残しました。多くの廃棄物が不法に投棄され、1990年に問題が発覚しました。これにより、豊島は「ゴミの島」として全国的に知られることとなり、住民生活や地場産業に深刻な影響を与えました。廃棄物の撤去作業は2017年に完了しましたが、依然として地下水の汚染問題が残ります。2023年には、地下水浄化装置の稼働が終了し、今後の監視が続く見込みです。

アートプロジェクト

豊島は、2010年から瀬戸内国際芸術祭の会場として選定され、アートの島としての認識が広がっています。国内外から多くのアーティストが訪れ、様々な作品が制作されています。アートイベントは島の観光にも大きな影響を与えており、地域経済の活性化に貢献しています。

交通アクセス

交通手段は限られていますが、豊島内にはバスが運行され、外部とはフェリーでの接続があります。特に小豆島豊島フェリーや豊島フェリーが、主要なアクセス手段として利用されています。これにより多くの観光客が訪れ、島の魅力を再発見する場ともなっています。

結論

豊島は、自然に恵まれた美しい島でありながら、歴史的に様々な課題を克服してきました。アートを通じて新たな活力を見出しつつある今、未来に向けた豊島の再生に期待が寄せられています。

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