豊島章太郎

豊島章太郎：内務官僚から地方行政の長へ

豊島章太郎（てしま しょうたろう）は、1899年11月、広島県に生まれ、1981年10月30日に生涯を閉じた日本の官僚です。内務省の官僚として、警察行政を中心にキャリアを重ね、最終的には愛媛県と岡山県の知事を務めました。特に戦後の混乱期において、地方行政の立て直しに尽力した人物として知られています。

エリートとしての出発

豊島は、第一高等学校を経て、1925年に東京帝国大学法学部を卒業しました。同年11月には高等試験行政科試験に合格し、エリート官僚としての道を歩み始めます。翌1926年には内務省に入省し、宮城県属を皮切りに官僚としてのキャリアをスタートさせました。

内務省でのキャリア

内務省では、内務事務官、警保局勤務、警保局外事課長などを歴任し、警察行政の中枢を担いました。その後、愛媛県と岡山県で書記官・警察部長を経験し、地方行政にも携わるようになります。また、警視庁では保安部長、経済警察部長といった要職を歴任し、その行政手腕を発揮しました。

愛媛県知事、そして岡山県知事へ

1945年10月、豊島は愛媛県知事に就任します。終戦直後の混乱期にあって、県政の舵取りを任されました。その後、1946年10月には岡山県知事に転任。岡山県では、地方制度の改正や経済対策に積極的に取り組み、戦後復興に向けた県政運営を主導しました。1947年4月には知事選挙を執行し退任しましたが、その間、地方自治の確立と経済の安定化に尽力しました。

公職追放とその後

知事退任後、豊島は公職追放の対象となりました。これは、戦後の民主化政策の一環として、旧体制を担った人物が公職から追放されたもので、彼のキャリアに大きな転換点をもたらしました。公職追放後の彼の活動については詳細な記録は残されていませんが、戦前・戦中・戦後という激動の時代を駆け抜けた官僚の一人として、その名は歴史に刻まれています。

豊島章太郎は、エリート官僚としてのキャリアをスタートさせ、内務省の中枢で活躍した後、地方行政の長として県政を担いました。彼の足跡は、戦前・戦中の日本における官僚の役割、そして戦後の地方自治の確立に向けた動きを考える上で重要な示唆を与えてくれます。

参考文献
歴代知事編纂会編『新編日本の歴代知事』歴代知事編纂会、1991年。
秦郁彦編『日本官僚制総合事典：1868 - 2000』東京大学出版会、2001年。
* 『現代物故者事典 1980～1982』日外アソシエーツ株式会社、1983年。

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