豊澤広助

豊澤広助について

豊澤広助（とよざわひろすけ）は、文楽義太夫節の三味線方で名を馳せる重要な名跡です。この名跡は代々の演者たちによって受け継がれ、その活動を通じて文楽の発展に寄与してきました。ここでは、各代の広助について詳しく見ていきましょう。

初代豊澤広助

初代は1777年に大阪で生まれ、その後1824年に亡くなりました。彼は義太夫節の2代竹澤弥七の弟子であり、豊沢派の祖として、演者としての地位を確立しました。多くの実力者たちの支持を受けながら、文化8年には「豊沢広助」の名で舞台に立つことになります。彼は2代竹本土佐太夫とコンビを組んで大変活躍し、文楽界における重要な存在となりました。通称は「傘屋」で親しまれていました。

二代目豊澤広助

生没年は不詳ですが、二代目は初代の弟子として多くの舞台での経験を積みました。彼の初名は竹沢吉松で、名跡を引き継ぐために奮闘しました。文政9年には二代広助を襲名し、翌年には引退して京都に隠棲しました。彼は後に「広々翁」として知られるようになりました。

三代目豊澤広助

三代目は、摂津今宮村出身で初代の弟子として活動を開始しました。彼の初名は豊沢源之助であり、3代目仙左衛門や竜甫を経て1847年に3代目の名を受け継ぎました。多くの弟子を持ち、文楽界での地位を確立しましたが、弘化3年にその生涯を閉じました。

四代目豊澤広助

四代目は初代の弟子で、初名は豊沢猿之助でした。彼は源吉、4代仙左衛門などの支持を受けつつ、嘉永7年に四代目を襲名しました。また、多くの後進を指導し、文楽の発展にも寄与しました。元治2年に亡くなり、通称は「源吉広助」として知られています。

五代目豊澤広助

五代目は1831年に京都で生まれ、本名は栗原豊助です。彼は陸奥茂太夫の息子で、1845年に豊沢豊之助として初舞台を踏みました。1870年に5代目を襲名し、演奏技術の向上や後進への指導に尽力しました。彼の強い影響力は明治期の文楽界にも大いに寄与しましたが、1904年に74歳でその生涯を終えました。

六代目豊澤広助

六代目は1842年に生まれ、本名は岩崎治助です。彼は5代目の弟子として1854年に初舞台を踏みました。数々の名演を残し、特に大正の時代には名庭絃阿弥の名を与えられるなど、文楽の重要な一翼を担っていました。彼は82歳で亡くなるまで、義太夫節の伝統をしっかりと受け継ぎました。

七代目豊澤広助

最後の七代目は1878年に生まれ、本名は栗原竹三郎です。1891年に豊沢富助に入門し、その後文楽座や彦六座で活躍しました。1931年に名跡を襲名し、義太夫節の曲の分類整理にも貢献しました。彼は1957年に78歳で亡くなり、これにより広助家は断絶しました。

豊澤広助という名跡は、歴史的背景を持ちながら、各代の演者たちによって培われた文楽の伝統を語るものです。それぞれの代が持つ個性や功績は、今後の文楽にも影響を与え続けることでしょう。

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